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ストックBOX/backnumber

日本橋・兜町に新金融街

k.nakajima |2017/04/27 8:24 am

豊洲移転問題ばかりがクローズアップされる小池都知事の政策論争ですが、知事が政策課題として常に挙げていたのが、東京国際金融都市構想です。 既に政府主導の特区構想会議に要望を示しており、6月発表の骨子案を待って、7月の都議選の重要な争点にしたい考えの様です。 実はこの金融都市構想ですが2007年6月の安倍第一次内閣が表明した「骨太の方針」の中で、金融機能の強化策として示されたものが始まりです。 具体案は金融庁主導で日本銀行のある日本橋から東京証券取引所のある兜町に至る区域に内外金融機関を集積し新しい金融街を作るというものでした。

こうした流れを受けて都は2020年までに金融系外国企業を少なくとも40社程度誘致したい考えですが、その柱として期待されるのが資産運用会社です。 香港やシンガポール等アジアの有力金融都市と比較して東京が劣っているのが資産運用会社の数だと言われています。 特にアジア太平洋地域で昼夜と問わず運用を行うヘッジファンドの60%以上が香港、シンガポールに拠点を置いており東京ベースの業者は10%を下回ると見られています。

外国系金融会社を誘致するには、オフイスの提供で事足りるわけではありません。
そこで働く外国人向けの高級マンション、短期滞在者向けのホテル、英語の通じる病院、外国人子弟向けの学校、時差の関係で深夜、早朝に働く人向けに24時間出入り自由なビル、その中にはレストラン、スポーツジムなども必要でしょう 更にビルにも高度な耐震性、バックアップシステム、柱の無い広いフロアー、など高規格な仕様が求められます。 更に投資家育成も重要な課題です。
金融街には教育施設、イベントの出来る大きなホールも当然必要になります。

そしてこうした方向に向け、既に動きが始まっています。 兜町界隈では再開発を待つかのように空きビルが目立ち始めています。 兜町の大家ともいえる平和不動産主導の再開発プロジェクトが動き出しています。 東京駅の日本橋側では高さで日本一を目指す高層ビルの建設が始まりました。 日本橋1丁目には野村証券日本橋本社ビルが有ります。 敷地面積1100平方メートルの大きさを誇りますが老朽化が進んでいます。 本社機能は既に大手町のビルに移っており、このビルの再開発が始まれば位置関係から日本橋―兜町を繋ぐ役割が期待されます。 この様に日々変わる風景に期待が高まっています。
(中嶋)

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マクロン候補がトップ通過

k.suzuki |2017/04/26 7:33 am

フランス大統領選の第1回投票の結果が判明しました。エマニュエル・マクロン候補がトップで通過したことを好感して、世界中の株式市場が上昇しています。ドイツDAX指数は史上最高値を更新しました。

まだマリーヌ・ルペン候補との決選投票が残っています。大勢はすでにマクロン候補に傾いているとは言え、少し喜び過ぎのようにも感じるのですが、それだけ昨年の英国と米国での選挙で受けた反省がマーケットに刻み込まれているというなのことでしょう。

事前の世界中から「政治の年」と言われてスタートした2017年。それだけに投票前2週間は世界中が完全に動きを止め、そして結果判明の後は激流のようにマネーが流れ出すという傾向が見られます。スイッチひとつで急停止と急発進が切り替えられるという、まさにAI的な、フィンテック的な動きが定着しつつあります。

ということであれば、市場に携わる者として今後の対処法も変わってきます。動きが止まった時は無駄に体力を浪費することなく、やきもきせず果報を寝て待つ感じで、動き出したらとにかくその流れに付いてゆくということですね。

あまり賢い戦法ということにはなりませんが、世界はますますシンクロして動くようになっています。それだけ世の中とマーケットの先読みがむずかしくなっているということなのでしょう。

折りしも日本では3月決算企業の決算発表が始まりました。GW目前ですが、今日と明日は早くも最初のピークがやってきます。これほどまでに先読みが困難な世の中なのですから、企業経営者もたいへんです。今期の収益見通しが多少低めであったり、設備投資に慎重であるくらいのことは大目に見てあげたいと思います。
(スズカズ)

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「味なしの素材」

e.sakurai |2017/04/25 7:34 am

フランスでは大統領選パート1通過。
北朝鮮などの地政学リスクはあるものの欧州での焦点は英国。
その英国総選挙の予定日は6月8日。
この日は「バイキングの日」。
バイキングは北欧出身の海賊の総称。
西暦793年6月8日。
剣や斧で武装した彼らがイギリスのリンディスファーン修道院を襲撃。
キリスト教西欧社会を震撼させました。
この事件からヴァイキング時代が始まったと言われています。
島の教会は破壊され略奪に遭い僧たちは島から逃亡。
リンディスファーンの司教座は1000年にダラムへ移設。
リンディスファーンの福音書は現在ロンドンの大英図書館に保管されています。
ECB理事会があって翌9日はメジャーSQ。
厄介なスケジュールが登場したという印象は拭えません。

面白い陰謀論を一つ。
ナポレオン戦争の時。
ナポレオンの敗北をいち早く知ってた銀行家ネイサン・ロスチャイルド。
ポンド債の空売りと買い戻しで巨額の利益を上げました。
そのときと同じ。
あらかじめ英国の国民投票でEU離脱が可決されることがわかっていれば・・・。
FXでも英国債の売却でもとにかく大量のポンドをユーロに換えておくだけで一夜にして莫大な利益を得ることが出来た筈。
そのため必要だったのは世論をブレグジットに向けて誘導する影響力。
そして投票締め切り前の正確な予測情報。
この渦の傍らに株式市場がいたのかも知れません。
陰謀論パート2。
今回の英国下院解散総選挙。
紙面などでは「保守党の勢力強化でEU離脱を安定的に」みたいな論調。
でも穿ってみれば、選挙で負けてEU離脱混乱というのもナシではないような気がします。
マーケットにとっては与党敗北シナリオはあまりよくありません。
でも島国の英国にとってEU離脱で大陸からの輸入の一部が途絶えることは耐えられない筈。
過去の過ちを悔いての投票というのがあるのかも知れません。
ネットなどでは「オランダのユニリーバが作っている国民食品マーマイトを英国スーパー最大手は中止。
日本に置き換えれば大手スーパーが納豆の取り扱いを停止するようなこと」とあります。
これを厄介と考え悔いた英国民も結構多かったのではないでしょうか。。
「過ちては改むるに憚ること勿れ」という中国の故事も浮かび上がってきます。
さらに加えれば、トランプ大統領とルパード・マードック氏の関係は一転好調。
陰謀論というのは所詮夢想にしか過ぎませんがチャタムハウスはどんな解釈をしているのか興味深いところです。

セブンイレブンでコーヒーを買うとカップの蓋が品切れ。
この場合「ああ、売れているんだ」とフツーに思います。
ヤマト運輸でゴルフバッグを送るときに「アイアンのカバーが切れてまして」。
この場合「ああやはり下方修正するほど業績はイマイチなんだ」と考えてしまいます。
あるいは「こんなところで経費節減?」なんて穿った見方も。
事実はそんなことは全くなくて、単に現場の怠慢だけなのかも知れません。
でも「物流が人手不足で大変」なんて刷りこまれるとどうもその方向で物を考えがち。
先入観と言うのは厄介なものです。

昨日の仲田キャスターのブログ。

ちなみにストボでもポテトチップスのお気に入り、 聞いてみました。

今野記者・・・コンソメ
藤波キャスター・・・のり塩
(トウモロコシ系のスナックの方がお好みだそう)
櫻井キャスター・・・うす塩
(ジャガイモに何か味をつけるのは邪道!だと怒られました)。

怒ってはいませんが素直な元の味を堪能するというのは株の銘柄も一緒でしょう。
味付けして見栄えが良くなったシナリオではなく、素材の良さを発掘するのが仕事。
マグロにワサビとか鰻に山椒、シューマイに辛子などの組み合わせの妙味は舌で理解できます。
でもデコレーションだらけの株は甘くて本当の味はわからないもの。
だから素直な味が大切なのでしょう。

以下は今朝の場況。

「世界的株高に減税期待が加わる」

週明けのNY株式は大幅反発。
フランス大統領選の第1回投票でマクロン候補がトップとなりEU離脱の可能性が低下したことを好感。
NYダウは216ドル高の2万763ドルまで上昇。
3月1日の303ドル高に次ぐ上昇幅となった。
VIX(恐怖)指数は10.84まで低下。
「世界的な国債利回り上昇を背景に金融株が買われNYダウ平均を押し上げた」との解釈。
アマゾンなど大型IT関連株の決算期待からNASDAQ総合株価指数は反発。
過去最高値を更新した。
追加の支援材料となったのはトランプ大統領の減税策の可能性。
「26日に法人税率を35%から15%に引き下げる方針を発表予定」とWSJ電子版の報道。
トランプ大統領は経済チームに「やり遂げろ」と指示を出しているという指摘もあった。
28日が政府債務上限、29日が就任100日目となっており実勢が欲しいとの観測もある。
「Tモバイル買収以外の再建策模索」と報道されてスプリントが上昇。
好決算への評価で玩具のハズブロが大幅高。
引け後に決算を発表したのが非鉄のアルコアはEPSが市場予想を上回ったことを好感し2%超の上昇。
明日の朝への期待感につながる動きとなった。
10年国債利回りは2.273%。
ドル円は109円台後半とドル安円高トレンド。
独DAX指数は4日続伸で過去最高値更新。

「4月権利付最終日」

フランス大統領選挙を受けての大幅上昇。
日経平均もさることながらTOPIXの1500ポイント台回復の方を好感したいところ。
本来の予想の展開でサプライズがあった訳ではないのに大袈裟に騒いだ反動がこの結果と見ることもできなくはない。
SQ値18613円は奪還し4月月足陽線の芽も出てきた。
週明けのNY株式も大幅に上昇。
債券利回り低下も止まった印象。
為替は109円台後半と希望的観測を含んだ円安トレンドは止まった。
円高トレンドの影響もあり225先物大証終値は日中比10円安の18930円。
昨日の日中高値18940円をトライして欲しい水準だ。
もっともシカゴ225先物終値が18870円だったことからすると悪くはない。
25日移動平均(18805円)からのかい離は+0.4%とようやくプラス転換。
松井証券経由の信用評価損率速報で売り▲8.962%、買い方▲8.851%と拮抗。
マザーズ信用評価損率で買い方がマイナス17.33%まで悪化したのは気になるところ。
空売り比率は38.1%(前日40.0%)に低下し今月2回目の30%台。
日経VIも16.79(前日20.22)まで低下。
3月21日以来の低水準となった。
日経平均のPERは15.77倍。
EPSは前日の1189円→1196円と増加し1200円台への復活感が漂ってきた。
ココは決算発表の通過ともに増加してくるだろうし今期予想EPSは1300円台も視野に入ってこよう。
北朝鮮の創軍記念日で地政学リスクは高まっているが、ボラの低下はミサイル発射や核実験等のリスクを否定した格好だ。
気になるのは上海総合指数の下落。
1月20日以来3カ月ぶりの安値水準まで下落。
下落率は昨年12月12日以来の大きさだった。
「中国当局が違法証券取引への取り締まりを強化し、投資家間に警戒感拡大」との解釈。
地政学リスクや景気動向が主役ではなく投資マネー規制への反抗が理由とされている。
世界の流れに逆らった株安は良くない。
4月権利付最終日。
下落印象の高い火曜に燈明がともって欲しい日。
(櫻井)。

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「ピンチヒッター」

e.sakurai |2017/04/24 7:06 am

週末を沖縄で過ごして日曜夜に帰京。
そして月曜前場のピンチヒッター。
因果というか、何というか・・・。
フランス総選挙はルペンさんとマクロンさんの組み合わせ。
所詮第一次選にしか過ぎませんが、一応好感した動き。
マクロン陣営への観測が5月7日まで続くのでしょうか。
世界はフランスだけではなく米国の税制等規制緩和、あるいは北朝鮮の地政学リスクなど多くのファクターで動いています。
それでもデフォルメされた一つだけを焦点に市場は動くことが多いもの。
そんなに賢い場所ではないようです。
日本シリーズで代打ホームランを打ったことのあるバッターの言葉は「振らなきゃヒットは生まれない」。
振らない人ばかりの株式市場というのもいかがなものなのでしょう。

「3日新甫は荒れる」としてスタートした4月3日終値は18983円とまだ上空。
米10年債利回りは2.24%。
国内10年国債利回りも水曜の0%→0.015%まで戻してきました。
まだ物足りない水準ながら当面は「金利上昇→株高」の構図が続いてほしいもの。
3月の海外投資家の公社債買い越しは約17兆円。
2016年度は218兆円で過去最大の買い越し。
単にドルを円に換えることで利益が上がるのはマイナス金利のなせる業。
海外投資家にとっての錬金術という不公平の是正は望まれるところです。

OECDに次いでIMFも世界経済見通しを発表。
世界の成長率は2017年3.5%、2018年3.6%。
日本は2017年1.2%、2018年0.6%。
米国2017年2.3%、2018年2.5%。
ユーロ圏は2017年1.7%、2018年1.6%。
中国は2017年6.6%、2018年6.2%。
米国は2016年の1.6%を大幅に上回る見通し。
日本の2017年は0.4ポイント上方修正ながら世界に見劣りします。
デフレ経済からの脱却が急務だし、異常な低金利の影響から逃れられていません。
ユーロ圏と比べて、ここまで劣後しているのは許せないという声もあります。
イギリスでさえ2017年は2.0%、2018年は1.5%。
率で行くと日本の2倍の成長。
どこか政策がおかしい、あるいはどこがおかしいという議論が聞かれないのが残念。

以下は今朝の場況。

「仏大統領選挙を警戒はしたものの・・・」

週末のNY株式市場は仏大統領選の第1回投票を控え、警戒感からの下落。
週間では上昇しS&P500は3週間ぶりの上昇となった。
週間でNYダウは0.5%、S&P総合500は0.8%、NADAQは1.8%上昇。
SP500採用銘柄で四半期決算発表を終えたのは95社。
そのうち約75%が市場予想を上回っている。
またトランプ大統領は26日に税制改革に関して大きな発表を行うと発表。
多少の期待感がある。
4月製造業PMI速報値は前月から低下し市場予想を下回った。
中古住宅販売は予想に反して前月比4.4%の増加。
公益・資本財・サービスセクターが堅調。
電気通信サービス・一般消費財セクターが下落。
債券市場はほぼ横ばい。
WTI原油先物はバレル50ドル割れ。
フランス大統領選挙の大波乱は、マリーヌ・ルペン氏とジャン リュック・メランション氏の組み合わせの決選とされた。
この組み合わせでは「ペストとコレラ」の究極の選択になるとの言われたが、結果はマクロン氏とルペン氏の決選投票の方向。
これを受けて週明けの為替市場は安全資産としての円買いから解放されドル円は110円台で推移。
多少は潮目の変化となってきた。
気になるのは先週英国FT100指数が年初来マイナス0.40%と落ち込んだことだろうか。

「思わぬ円下落で」

日経平均は6週ぶりに上昇。
「買い戻しにすぎない」という声もあるがリバウンド期待も漂ってきている。
4月に入っての下落セクターは、石油・石炭、海運、水産・農林、非鉄金属、鉱業。
年初からのワ ース5は、輸送用機器、鉱業、不動産、銀行、倉庫・運輸となっている。
日経平均は週間では約285円(1.6%)の上昇。
TOPIXは2.0%高。
東証マザーズ指数は3.9%高で2週ぶり反発。
日経ジャスダック平均は3.0%高で3週ぶり反発(5日続伸)。
東証2部指数は4.7%高で2週ぶりの反発。
225先物大証夜間取引終値は日中比30円安の18620円。
フランス大統領選挙はマクロン氏とルペン氏の決選投票の方向。
これを受けてドル円は一時110円台まで下落。
思わぬ援軍というべきか、所詮通過するだけの材料とみるべきかは微妙。
「まだ既成事実ではない」.
あるいは「マクロン氏の勝利はマーケット・フレンドリーとなることは確かだ。
しかしまだ不確実な要素が残っている。
5月7日の決選投票を終えるボラタイルな展開が見込まれる」という声も聞こえる。
ただおかげで6日ぶりに上回ったSQ値18613円をキープはできよう。
18800円台に期待する声も聞かれる。
4月月足陽線基準18913円も視野に入ってこようか。
(櫻井)。

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落ち着きを取り戻した

r.matsushita |2017/04/21 8:15 am

 空母カール・ビンソンの行動は不可解ですが、中国による影響力行使の時間を与えるためだった、ということであれば理解できるように思います。(米中首脳会談で、習氏がトランプ氏に、韓国は中国の一部だったと発言した、との報道には驚きましたが。)

 今回の地政学リスクは一応峠を越えて、株式相場は徐々に落ち着きを取り戻しつつあります。さて、ここからは本題に戻って株式相場を考えましょう、という展開になるのでしょうね。新年度で機関投資家の買いが入るのでは、という気でいたのですが、地政学リスクですっかり様子見になっていたようです。それが、徐々に出て来るのでは、とも思います。テクニカル面ではどん底っぽい局面入りもしていますし。

 次の日曜日の仏大統領選挙(第1回目)、その後の韓国大統領選挙、6月には英国の総選挙が加わることになりました。

 トランプ大統領の政策の進展、世界経済の動向、米景気,FRBの金融政策,米国株の動き、日本経済の見通し、これから発表が本格化する企業業績の動向、等々。

 この間の地政学リスク相場で、石川製作、細谷火工、重松製作、アゼアスなどに注目して相場を張った人たちの慧眼には敬意を表したいとは思いますが、それにしましても、東アジアの地政学リスクというのは厄介なものです。

地政学リスク、当面の結論
 地政学リスク、などとあいまいな表現をしてはいるのですが、はっきり言えば北朝鮮(と中国)問題です。特に北朝鮮は、核兵器開発、(生物)化学兵器開発と使用(VX)、禁止薬物密輸、紙幣偽造(米ドルと人民元中心)、拉致,弾圧等の人権侵害等々、ならず者国家と呼ぶのを多くのひとが躊躇しない振る舞いの国ですから、近い将来何が起きるか想定が難しいのですが、当面の結論とすれば以下のようなものではないかと思います。

1.米国は「レッドライン」をはっきりと示し、それを北朝鮮は認識したようだ。
2.中国は、対米関係への配慮から、これまでよりも真剣に北朝鮮に影響力を行使するつもりのようだ。
3.米国は、北朝鮮の体制変更を求めず、レッドラインを超えない限り軍事行動は取らない方針のようだ。

 こうした情勢判断からすれば、当面この地政学リスクは沈静化、という結論でしょう。したがいまして、日本株への悪影響は薄れて行くだろう、と。

 ただ、リスクはリスクとして残るので、ポジション管理の面から慎重な運用が望ましい、という点は残ると思います。

 一部にトランプ大統領が選挙中に言っていたことと違う行動を取っているとの見方があるようですが、私にはそんな風には見えません。例えば上記の「レッドライン」は、米本土が核攻撃を受けないため、ということであって、別に日本や韓国を米国兵士の犠牲によって守ろう、というわけではないでしょう。(安全保障条約上の義務は果たす、ということではあるでしょうが。)

 軍事面で専門家のオプションのうちの一部を実行する命令を出している、ということはありますが、基本は間違いなくアメリカ・ファースト、ということです。

フィリップス曲線
 「フィリップス曲線というものがありまして、「縦軸にインフレ率(物価上昇率)、横軸に失業率をとったときに、両者の関係は右下がりの曲線となる。フィリップスが初めて発表した時は縦軸に賃金上昇率を取っていたが、物価上昇率と密接な関係があるため、縦軸に物価上昇率を用いることが多い。

これは、短期的にインフレ率が高い状況では失業率が低下し、逆に失業率が高いときはインフレ率が低下することを意味する(インフレーションと失業のトレードオフ関係)。つまりフィリップス曲線とは、短期において「失業率を低下させようとすればインフレーションが発生」し、「インフレーションを抑制しようとすれば失業率が高くなる」ということを表した曲線である。」

なのだそうです。失業率が低くなるということはインフレ気味なのであり、当然勤労者の所得が増え、(名目の)個人消費は伸びる、そんなイメージでしょう。
 そこでわが国の過去20年を振り返ってみます。ほぼ一貫してデフレっぽい推移、失業率は足元の2.8%に向けて低下傾向・・まるでフィリップス曲線のイメージではありません。アベノミクス初期にインフレ率2%超えが瞬間的にありましたが、その後また低下に逆戻りしています。(インフレ率のターゲットを2%に置いて来たのですが・・)

 インフレ率が上がらないので給料も上がらない(物価が上がらないのだから賃金も上がらなくていい?)となってしまって、これでは個人消費が伸びないのは当然です。
 過去10年という区切りで見ますと、実は企業収益は大幅に好転しています。つれて、企業(特に大企業)の役員・幹部の報酬は大きく上昇しています。株主への配当金も増えています。しかし、一般の勤労者の所得は増えていない、つまり、格差が拡大した。
 勤労者への配分を増やさないのがけしからん、とか何とか、そういうことを言いたいのではありません。失業率の低下とインフレ率の低下が共存して来た原因は何だったのだろう?ということが大いに疑問なのです。そして、それが株式相場にどんな影響を持っているのだろうか、と。

 日本は市場経済なのですから、企業努力で企業収益が向上するのは大いに歓迎です。失業率が低下しても勤労者の所得が増えないとすれば、そうなる理由がちゃんとあるからでしょう。それは何なのか?
 おそらく、トランプ米大統領は、その原因は「過度のグローバリズムと不公正な貿易だ」と断じた、のでしょう。アメリカは日本ほどデフレっぽいわけではありませんが、過去に比べればインフレ率は低下し、同時に労働者の所得は伸び悩んでいます。(というより、業種間格差、企業間格差が拡大した、というべきでしょうか。)起きたことは日本と似ていると私は思います。

 実は、フィリップス曲線は生きていて、これだけ失業率が下がったのだから、いよいよこれからインフレ率が高くなり、賃金も本格的に上がる、ということなのかもしれません。(その兆候もなくはないようです。)

 しかし、私は、世界的にマネーの供給が過大で、モノの生産力・供給力が技術の発達で素晴らしく洗練されたものになっており、いくら反グローバルの動きが出たとしてもグローバル化がそんなに簡単に止まるわけではない、ということからしますと、フィリップス曲線が機能しないことがこれからも多いと思います。(金利の低さについて考えてみた、先週のブログと同じことです。)そして、株式相場との関連で見れば、フィリップス曲線など論じても何の意味もない、のではないか、と思います。株式市場を考える時に考慮する必要は、たぶんない、と。

平成29年4月21日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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「ひよっこ」の時代

k.nakajima |2017/04/20 9:56 am

 NHKの朝ドラ「ひよっこ」にハマっています。時代は1964年の東京オリンピックの年、主人公の「谷田部みね子」が当時高校3年生の設定になっています。私と言えばオリンピックの年には高校2年生でしたので、主人公とほぼ同じ時代を生きたことになります。小道具として登場する、車のスバル360、三輪トラックなど懐かしい限りですが、これまで大事に保存されていたのでしょう、新品同様なのは仕方無いのでしょう。私の記憶の中のスバル360は喘ぎながら、低速で健気に走る姿です。 

東京オリンピックまでのほぼ10年は日本が高度成長を続け、その後の経済の枠組みを作り上げたと言っても過言ではないでしょう。 以下に日経新聞社の「経済史」を参考に数字を確認します。

昭和30年(1955年)〜昭和39年(1964年)
実質国民所得      2.6倍
個人所得        3.0倍
一般会計予算規模    3.3倍

米国国民総生産     1.3倍
英国  “       1.3倍
西独  “       1.7倍

欧米諸国と比べてもその間の日本の経済成長が如何に驚異的であったかが知れます。  特に1960年に安保闘争の結果岸内閣が倒れ、続く池田内閣が打ち出した、向こう10年間で実質国民総生産を2倍に拡大し、其の結果として所得倍増を目指す目玉政策が大きく寄与していました。 当時、朝、目が覚めたら家電製品がまた一つ増えていたと言われたものです。  ではその家電の普及率を確認します。

昭和32年(1957年)    昭和40年(1965年)
テレビ     8%         90%
電気冷蔵庫   8%         62%
電気洗濯機   20%        73%

今では当たり前のこうした家電製品を使う生活の形が出来たのもこの頃です。
テレビの普及が急激ですが、1959年の今生天皇と美智子妃のご成婚を何とかテレビで見たいとの動機が普及を促したとの見方が一般的です。

こうして日本の経済、国民生活は1990年のバブル崩壊までトレンドとしては右肩上がりの成長、拡大を続けます。 こうした基が「ひよっこ」の時代に作られたことを意識して番組を楽しむつもりです。
(中嶋)

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始発列車の大問題

k.suzuki |2017/04/19 7:56 am

始発電車には独特のルールがあります。平日であればほとんど毎日、どこに誰が座るかが決まっています。

座る席が決まっているだけではなく、立っている人も立つ場所がだいたい決まっています。ほぼ毎日、同じ時間、同じ場所にいる人が決まっているので、挨拶を交わすことはありませんが、周囲はほとんど顔を知っている人たちばかりです。毎日ほぼ同じような場所で、同じ新聞を読みスマホを開いて、あるいは音楽を聴いたりすぐに眠ったり、そうしてそれぞれの目的地に向かいます。

そんな始発電車にごくまれにですが、見知らぬ人が紛れ込んでくることがあります。始発列車に乗り慣れていない人なので、独特のルールに慣れておらずはじめはキョロキョロしています。ですから一目でそれとわかります。そうなると車内に微妙な緊張が走ります。

目的の駅に着いたのか、そういう人たちが下車してゆくと、いつもの光景に戻ります。常連の乗客の緊張が解け、お互いに目を見交わして安堵のため息をつき(ウソ)、それぞれ普段どおりの一人の世界に戻ってゆくのです。日本の各地で平日の朝は、だいたいこんな感じで始まってゆきます。

想像力を羽ばたかせて、この始発列車の光景をもう少し広げて考えてみると、移民問題とはまさにこういうことなのでしょうか。

ある日、マンションの隣の部屋に外国人ファミリーが住むようになって、マンションでなくても戸建てでもよいのですが、異国の一家がすぐそばに暮らし始めて、そのうちに世帯数が増えてゆき、気がついたらかなりの世帯数を成すようになっていたというケースです。

ゴミ出しや子どもの集団登校などのルールをひとつずつ片付けていれば、普段の生活上はさほどの問題はありません。しかしそのうちに宗教的な集まりが始まったり、政治的な要求が強まったりしだすと、そこから先の物事はそう簡単には進みません。

隣近所とは仲良く暮らしてゆけさえすれば何も問題はありません。しかし日常の生活空間には様々な人がいて、様々な価値観が渦巻いています。受け入れられることと受け入れられないことがどうしても出てきます。

日本は四方を海に囲まれているので、移民問題もごく繊細な部分は理解しにくいところがあります。しかし国としてそろそろ避けて通ることはむずかしくなってきました。

これが「始発列車の大問題」です。始発列車には「これから一日が始まるぞ」という静謐な決意というか、なんとも不思議な心地よさがあります。朝は眠いものですが、どうせなら気持ちよくいきたいですね。
(スズカズ)

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「付け入る投資もアリかも」

e.sakurai |2017/04/18 7:27 am

内閣府のHPは時折見ておく価値のあるものと考えています。
今回見つけたのは「科学技術イノベーション官民投資拡大推進費ターゲット領域検討委員会」(4月4日開催)の資料。
その中の「ターゲット領域検討に向けた全体俯瞰図」は結構お宝。

http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/target/4kai/siryo4-2.pdf

材料のデパートともいえます。
「AI・IoT・ビッグデータ・ネットワーク」が全体の中核。
そこから「セキュリティ・サイバー」につながり時計の左回りに材料満載。
エネルギーバリューチエーンで「海洋開発・再生可能エネルギー」。
そして「水素・電池」→「自動走行」→「i−construction・遠隔作業」→「G空間」
→「センシング・テロ対策・災害対応ロボット」→「気候変動予測・水資源・リサイクル」
→「ゲノム情報・ロボット・育種=革新的バイオ産業基盤技術」
→「介護支援・ウェアラブルバイオセンサー・健康ビッグデータ」。
これらが順番に市場に登場していると思えば良い筈。
人間は神様ではないのですから所詮マーケットの登場するテーマはそんなに立派な独自性があるものではないでしょう。
何らかのテキストを見つけて参考にすると仮定すれば結構興味深い資料です。

AIが頭脳労働をしてくれて、ロボットが肉体労働をしてくれる。
これが未来図。
データを用いて作業をする能率では人は絶対にかなわなくなります。
彼らは急速に成長。
その先で彼らがヒトの表情や感情を読み取れるのかどうか。
ココが課題でしょう。
というか、データを用いて勝てないのならば心理の揺れなどの分野での勝負ならば勝てる可能性があります。
相場も同じような立ち位置。
データでは勝てない、アルゴリズムでは太刀打ちできない。
だったらユッタリ投資で感情の動揺や心理の微動、表情の皺を読むことがプライオリティになるかも知れません。
筋肉を鍛えてもロボットには負けます。
記憶力や推理力を鍛えてもAIには負けます。
相手の得意でない分野で勝負することは必須でしょう。
そもそも、AIだって優先順位を付けられたトップ材料を第一に考えるもの。
二次的材料やささいな材料は見逃しがちです。
ココに付けいる投資っていうのが次の時代の相場観になる可能性はあります。


以下は今朝の場況。

「金利上昇を背景に4日ぶりの反発」

イースター3連休明けのNY株式市場は4日ぶりの反発。
背景は「決算への期待感と大規模な景気刺激策への思惑」との解釈。
NYダウは183ドル高の20636ドル。
上昇幅は3月1日以来およそ1カ月半ぶりの大きさだった。
特に航空機のボーイングが3日ぶりに反発し1銘柄でNYダウを約22ドル押し上げた。
アマゾン・ドット・コムやグーグルの持ち株会社アルファベット、フェイスブックといった代表的ネット関連株は軒並み上昇。
ムニューシン米財務長官の英FT紙のインタビュー。
「オバマケア代替法案の撤回に伴い税制改革が遅れる可能性はある。
しかし国境調整措置に頼らず1兆ドル規模の景気刺激策の財源を確保」。
この方向性を好解釈したとも言えよう。
また長期金利の上昇も好感されたとの解釈。
このところの金利低下は株下落要因と認識する必要があろう。
一時ほぼ5カ月ぶりの水準に低下した米長期金利の上昇で日米金利差が縮小するとの観測は後退。
「投資家のリスク回避が和らぐ」との見方も拡大。低
金利通貨の円は下落した。
北朝鮮などの地政学リスクに何ら変化はないが、業績や政策を注視した結果見えないフリというところ。
米金利動向が地政学リスクよりも上位の材料に他ならない。

「先週末SQ値までの維持の有無」

昨日の東京市場は「4月17日株安のアノマリー」を跳ね返して5日ぶりの反発。
25日線からのマイナス3.8%かい離。
騰落レシオの70%割れ。
空売り比率の40%割れなど週末の指標の底打ち感がアノマリーに勝ったということだろうか。
「売りで邪魔する外国人投資家不在が幸いした」という穿った見方もある。
東証1部の売買代金は1兆6337億円と今年最低だったから荒唐無稽でもなかろう。
「今年の続落は4日まで」のリズムは崩れなかった。
むしろ「今年の続落は3日まで」のリズムの変化に期待したいところだ。
シカゴ225先物、大証夜間取引終値ともに日中比160円高の18470円。
昨夜の余韻は続伸示唆となっている。
昨日の騰落レシオは68.06まで低下。
25日線からのかい離はまだマイナス3.5%。
松井証券経由の信用評価損率速報で買い方はマイナス10.877%。
売り方はマイナス7.136%と差は縮小。
マザーズ評価損は買い方16.96%(前日19.41%)まで戻してきた。
気になるのは空売り比率が41.5%とまた増加したこと。
もし続伸期待を裏切るならばこれが効いたことになろう。
そして10年国債利回りの0.005%までの低下(価格は上昇)。
諸悪の根源はココにある。
週末の異常に高かったSQ値18613円を取りに行く気概と覚悟の有無が問われる週でもある。
中途半端な上昇や下落ではダラダラ感は拭えない。
(櫻井)。

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開幕戦はMOTOMAN

iwamoto |2017/04/17 7:28 am

 今週20日(木)に安川電機が17年3月期決算を発表します。
 同社は3月20日が決算期末のため、31日締めの企業に比べて発表日が早くなりやすい(それでも通常より早く発表される!)のですが、そうしたシーズン先頭を切る位置づけだけでなく、典型的な設備投資関連の中堅銘柄であり、産業ロボットやIoT(モノのインターネット化)関連のテーマ銘柄ということから、その実績や翌期見通しが企業業績全般の動向を、そして発表内容に対する株価の反応が市場センチメントを、それぞれ映し出すシグナルとして注目されることの多い銘柄です。

 そこで、同社の、今回の決算発表を見るうえでの注意点をいくつか見てみましょう。

 (1)慎重発進の会社です。昨年は16年3月期実績で営業利益、経常利益が過去最高を記録したものの、翌17年3月期見通しとして経常利益21%減の285億円と大幅な減益予想を明らかにしたため、発表翌日には株価が64円(4.2%)安の1272円まで急落した経緯があります。もっとも、そこから下落トレンドに入ったわけではなく、3カ月ほど安値圏での往来相場を形成した後、夏場以降は上昇相場となり、今年3月には2294円の高値をつけました。

 (2)今年1月には通期見通しが増額修正されました。売上高3950億円(前期比4%減)、経常利益315億円(同12.1%減)が現在の会社側見通しです。経常利益は期初の発表数字に比べると10%ほど増額修正されましたが、これは第3四半期末までの状況を受けた予想数字。どこまで利益を積み上げるかが焦点です。

 (3)着地数字は読みにくい。‖3四半期累計実績の通期計画に対する進捗率が69.7%と低い(前年同期間の進捗率は74%)、第4四半期の想定為替レートがドル115円、ユーロ120円とやや円安前提で弾かれている−といったマイナス要因がある一方、主力事業であるサーボモーターやロボットが中国の半導体向けに好調が続いている可能性が大きいことがプラス要素。

 (4)株価は4月13日に一時2000円割れとなり、3月高値から13%強下落。先の会社側予想(経常利315億円)に対し、市場予想(QUICKコンセンサス)は319億2500万円(16社平均)、会社四季報予想は325億円となっています。上振れ着地なら株価反発のキッカケになるか。

 (5)関心の高い今期は決算期変更。これはちょっとやっかい。同社は今期から2月末を新しい事業年度末とする、と発表しました。18年2月期は17年3月期に比べて営業日数が20日ほど少なくなります。そのため、前期比較が難しくなります(参考数字として比較を公表するかもしれませんが…)。ちなみに、QUICKコンセンサスの18年2月期予想は経常利益で372億5000万円とかなり高い数字。これは参考になりそうにありません(社数も4社です)。

 いづれにしても、この安川電機を皮切りに決算発表シーズン入り。
 公表予定社のスケジュールを見ると、来週28日(金)が前半のヤマ。この日には274社の発表が予定されています(3月決算企業だけでなく、12月、9月、6月など3月に四半期決算期末を迎える企業を含む)。
 後半のヤマはゴールデンウィークが明けた週の5月12日。ここでは実に907社が発表する予定です。4月28日には化学、鉄鋼、機械、電機、自動車など輸出系中核企業の発表が注目されます。5月12日はとにかく、発表企業の数が多い。後半の時期ですから、内需系の銘柄の発表が多くなります。
 
◆4月28日の主な発表企業=
大東建託、関電工、山パン、キリンHD、サントリー食品、カゴメ、信越化、ゼオン、日電硝子、新日鉄住金、神戸鋼、日新鋼、大和工、愛知鋼、日立金、大チタ、オークマ、牧野フ、豊田織、ナブテスコ、タダノ、ジェイテクト、三菱電、富士通、シャープ、ソニー、ヒロセ、デンソー、新光電工、村田製、日東電工、アイシン、マツダ、本田技、ショーワ、リコー、JSP、東エレク、大和証、JPX、東武、小田急、JR東、JR西、郵船、商船三井、JAL、ANA、三菱倉、関電、東ガス、SCSK

◆5月12日の主な発表企業=
大成建、鹿島、前田、NIPPO、住友林、森永、明治HD、ハウス食、永谷園、東洋水産、王子HD、日本紙、日産化、三井化学、三菱ケミ、そーせい、大塚HD、ペプチドリーム、日本ぺ、関西ぺ、資生堂、昭シェル、浜ゴム、板硝子、住友電工、リクルートHD、ツガミ、アマダ、アイダ、SMC、千代化、セガサミー、日立、ルネサス、いすゞ、スズキ、ヤマハ発、コナカ、大日印刷、ユニ・チャーム、サンリオ、三井不、東急、阪急阪神、セイノーHD、三井倉HD、住友倉、上組、よみラン、日空ビル、ニチイ学館

 北朝鮮情勢の推移はなお視界不良ですが、市場心理的には16日の「ミサイル発射失敗」でひとまず落ち着くのではないか、と期待します。
 この問題に振り回された先週1週間。韓国総合指数(KOSPI)の下落率は0.8%にも届いていません(日経平均は▲1.8%)。当事国の株価より日経平均の方が下落率が高いのは「リスク回避の円高」という呪文のようなものがあるから(というより、それを唱えて売ってくる人たちがいるから)に他なりません。
 イースター休暇を控えたポジション調整というこの時期特有な需給失調も先週で一巡したはず。日米ともに、決算発表に注目すべき時期を迎えています。(イワモト)

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地政学リスク

r.matsushita |2017/04/14 8:01 am

 先週の本欄で地政学リスクは実に厄介、と書いたのですが、本当に厄介なものです。米軍が北朝鮮を攻撃するのではないか、と思ったとしますと、株式相場への悪影響はいくらでも膨らますことができてしまいます。現実には、北朝鮮は米国と全面戦争となれば体制の維持が難しくなるわけですから、自らそういう方向に進むとは(リーダーが賢明であるなら)考えにくいですし、米国にしましても、今は中国の北朝鮮への働きかけを見ている段階ですから、突然攻撃に出ることはないだろうと思うのがふつうです。

 とはいえ、株式相場の大前提は「(巻き込まれるような)戦争なしの状態」ですから、日本にも影響が及ぶかもしれない地政学リスクがあるとなりますと、ポジションを控えめにして様子を見ようとなるのは当然なのでしょう。

 日本に対する地政学リスクを意識、という割には、株価の下落は理解できるところとして、円相場の上昇は解せない反応です。VIX指数は多少上がりましたが、それほどの上昇ではありませんし、投機筋は地政学リスクをネタに、それが深刻化すると思っているわけではないものの、日米経済対話とか、欧州の政治情勢、等々を総合的に判断して日本株安・円高狙いのいささか流行遅れの仕掛けをしているのかもしれません。

 それにしましても、現在の地政学リスクについて言えば、過去30年くらいの間に解消の方向に持っていくことはできたはずでしょうに、それができなかったのは残念なことです。

何故こんなに低金利なのか?
 景気が良いときは金利が上がり、景気が悪くなると金利は下がる、というのはわれわれが経験上知っているところです。

 そして、景気が良くて企業業績が好調なら、多少金利が上がっても株価は上昇、しかし、金利がどんどん上がるとやがて株価は反落、金利の上昇が景気を冷やす恐れが強くなるし、金利の上昇で債券利回りが高くなって、株よりも債券を買う方が有利になるから、と、こういうのも常識の部類だろうと思います。金融相場と業績相場、その繰り返し、そんな風に株式相場を見ているひとも多いと思います。

 で、さて、今の金利、株式相場は?と見てみますと、金利は低いまま、株式相場は金融相場とか業績相場とか、そういうのがどうも馴染まない、そんな感じになっているように思えます。

 わが国に話を限定するとしまして、今現在の金利水準、ほぼゼロ金利、これは果たして景気の低迷に伴う一時的なものなのか?

 どうもそういう風には見えません。景気はもたもたしながらも5年近く景気拡大を続けています。しかし、景気が拡大することによって金利が上昇圧力を受ける、などということが起きているようには見えません。

 どうしてそういうことになるのか?理解の難しいことだと思うのですが、こうしたことが起きている「原因」、「要因」についてはいくつか思い当たることがあります。

1.経済のグローバル化の日本経済への影響
2.グローバル化に関連するのですが、工業製品の供給力の圧倒的な整備
3.わが国経済の成長余力の縮小

 それから、これが大きいと思うのですが、
4.世界的な資金のだぶつき(マネーの増加)

 1.の経済のグローバル化はいろいろな影響をわが国経済に及ぼしていますが、一番大きな影響は「雇用の流出=日本経済の空洞化」であろうと思います。要するに海外(特に新興国)にわが国の雇用が奪われた、ということです。

 この点は、アメリカでトランプ氏が声高に言っていることとほとんど同じです。ただ、わが国では、他国に日本の雇用が奪われたなどと政治的なメッセージを政治リーダーが発しないだけのことです。(例え他国に日本の雇用が奪われるとしてもグローバル化のメリットの方が日本にとっては大きいので、それは我慢する、ということかもしれません。)

 雇用が奪われる⇒労働者の所得全体の縮小⇒個人消費の減退⇒デフレ、となって、これは金利を押し下げる効果を持っていると考えることができるでしょう。

 2.の工業製品の供給力の圧倒的な整備、は、工業製品の価格引き下げを可能にします。典型的には、PCやスマホ、ということで、性能が劇的に向上するのに価格は下がる、これまたデフレの要因になっています。

 工業製品の価格が下がるのに、農産物や住宅の価格は下がりませんので、その分、全体として所得が落ちた勤労者にとっては、生活の余裕(感)が減ってしまいます。

 3.のわが国の経済成長余力の縮小、これは、部分的には日本企業の努力不足にも原因があります。(つまり、日本企業が国際競争に負けることが多くなった、ということです。)
 
 しかし、もっと本質的には、日本の経済が成熟した、ということが原因でしょう。となれば、わが国は産業構造を変化させる、そのために教育を変えて充実させる、といったことが必要なわけですが、これまでのところこうした努力が十分になされて来なかったようです。

 経済成長率、特に名目の経済成長率が低下すれば、これは金利の下押し要因となるのは当然でしょう。

 とは言え、わが国の経済が決定的に劣化した、というわけではなく、国際比較で見ればそこそこ立派なものだ、というのも事実です。日本経済は成長率が低下したものの、けっこう健全というのが実態でしょう。(国際収支はたいてい経常黒字、巨額の外貨準備と対外純資産、というのを見れば明らかでしょう。また、日本の通貨、円に対する信認が保たれていることからもそれが分かります。)

 4.の世界的な資金の過剰、実はこれがわが国の低金利の一番の原因だろうと私は思っているのですが、世界的な経済危機の度に資金が供給された結果、世界的に資金がじゃぶじゃぶになっています。そうした資金の一部が日本円資産に向かう結果、円の金利は下押し圧力を受ける、それで金利は下がる、そういう連鎖があるのでしょう。

 長々と書いたのですが、こうした現状認識をするとして、、

1.今後、状況がどう変わるのか?あるいは変わらないのか?
2.株式相場への影響をどう見るか?

 当然、これらに最大の興味があるわけですが、さてどう考えるか?

 考え方、予測はさまざまですから、いろいろな見方があると思いますが、個人的には以下のように考えています。

1.上に指摘した、1〜4の状況は基本的に変わらない。もちろん、トランプ氏のように、反グローバリズムを標榜するリーダーがいて、多少はグローバル化の進展にブレーキが掛かるかもしれませんが、大きくは変わらない、と私は思いますね。つまり、いくらトランプが言っても、アップルがアイフォーンの生産を全面的に米国内に移すことはない、ということですね。

2.金利は、相対的に低いまま。日本の金利は多少上がるかもしれませんが、以前のような10年金利が5%、6%といったことにはなりそうもない。もしそうなるとしたら、それは、日本に何らかの危機が起きて、円の信頼が失墜する時である、と思います。(そんな状況になりそうであれば、それは深刻な状況ですから別の対策を考える必要が出て来ます。)

3.株価はバブル化を繰り返し、かつ、投機的な資金によって変動が激しいものとなる。

 過剰な資金が特定の銘柄や銘柄群の買いに向かえば、バブルが生成されます。そういうことが数多く起きるという意味です。また、投機筋の資金によって相場の変動が拡大される、ということも頻発すると思います。(私は実のところ、こうした投機筋の仕掛けによって、債券市場が不安定になることが最大のリスクだと思っています。)

 で、最後ですが、では、どう対処するのが良さそうか?私見は以下のとおりです。

1.リスク資産への配分は控えめにする。レバレッジは原則使わない。これにはふたつ意味があります。リスクの実現時の損失を抑えること、及び、チャンスと見た時に資金を投入できるように余裕資金を確保しておくこと、です。

2.バブルの活用を心掛ける。バブルには乗る、しかし、バブル崩壊には付き合わない、ということ。(私は個別銘柄の株価については、PBR5倍以上、中小型株でも10倍以上、はバブル株価と思うことにしています。)

3.相場変動の内、下落相場時の行動を用意しておく。具体的には指数先物の売りがたぶん一番使いやすいでしょう。他に、リバース型の指数ETFを現物で買う、といった方法もあるでしょう。(レバレッジを効かせた空売りポジションは、元本超過損の恐れがありますので不可です。)

平成29年4月14日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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和牛の話

k.nakajima |2017/04/13 8:24 am

肉派もしくは魚派と聞かれれば、やはり肉派です。 食べ物の好みの話です。 それでも若いころは刺身を大好物にしていた時期もありました。 海外駐在が長く、たまに帰国すると友人が連日夜をセットしてくれるのですが、決まって海産物中心の居酒屋になります。 海外では新鮮な刺身が食べられないとの配慮ですが、連日続くと食傷気味になり、その頃から刺身が苦手になってしまいました。 一方肉では、現地で特に冬の時期にはジビエ中心に各種肉を味わう事が出来、好みは肉に傾いて行きました。 牛肉、鶏肉、豚肉から鴨、鳩、蛙、兎、猪、鹿、駝鳥等、独特の調理法で味わえた事は幸いでした。 

さて肉の頂点に立つ和牛ですが、数十年前から海外でもその美味さは鳴り響いていました。 松坂、神戸の固有名詞を訪日経験のある現地の顧客が語るときは特に熱が入っていた記憶があります。 こうした日本の和牛の高い評価に目を付けたオーストラリアの畜産業者が、和牛の血を引く「WAGYU」の開発に成功したのです。 狂牛病問題で輸出が停滞した日本の和牛を尻目に、味の点で和牛に近い高級品としてヨーロッパ、アメリカに輸出攻勢を行い大きなシェァーを獲得したのは自然の成り行きでした。

残念な思いでWAGYUの攻勢を見ていたのですが、4月1日の日経報道で嬉しい記事を見ました。 こうしたWAGYU優位の状況を打破すべく、日本の業界が2014年以降海外での販売促進を強化、ブランドイメージが徐々に定着しヨーロッパの高級レストランも高級肉としての「WAGYU」から日本産の「和牛」に採用を代えるところも出始めたとの事でした。 更に記事ではロンドンの老舗高級百貨店ハロッズの精肉売り場で、最も高い値札が付いたのが高級ブランド牛の神戸牛で、鹿児島産和牛もほぼ同じ価格で並んで売られていたとのことです。 オーストラリア産「WAGYU」の最高値の更に2倍で販売されていたのと事です。 ハロッズはロンドンのスローン通りに面し世界のハイソの金持ちが集まる高級住宅街の一角に有ります。 余談で確かな情報でしかありませんが、この界隈に住む金持ち層をスローン通りをもじって「スロネーゼ」と呼ぶようで、此れが日本のそうした層を呼ぶ「白金ネーゼ」の語源になったとか。

この様に和牛は高品質で特に海外で高い評価を得ていますが、日本の手作りの文化がここでも発揮された結果です。  国内ではその値段の高さ故、消費が低迷していますが世界的に評価が確立した和牛です、官民知恵を絞って不動のブランドとして定着させてほしいものです。
(中嶋)

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敬虔さが不寛容をあわせもつ

k.suzuki |2017/04/12 8:04 am

地政学的リスクが高まっています。北朝鮮の暴発ももちろん不安です。ですがそれ以上に、シリアの空軍基地に対して米国が艦載ミサイルでの爆撃が臨戦態勢に陥れたと思います。

国連決議を得ないままでの米国単独による武力行使が、米国の主張する集団的自衛権に当たるのか否か。世界は大きな分岐点に差しかかっています。パンドラの箱が開いてしまったようです。日を追ってリスク回避の流れが強まり、円は対ドルで5か月ぶりに110円台を割り込む円高となりました。金(ゴールド)も5か月ぶりの高値です。

シリアのアサド政権にしろ、より広くイスラム陣営にしろ、錯綜する利害関係は米国への報復攻撃の口実を与えてしまいました。シリア最大の後ろ盾であるロシアでさえ、サンクトペテルブルグでの地下鉄爆破テロに襲われました。

折りしも今週は復活祭の週です。キリスト教にとって最も重要な祝祭日。エジプトではコプト正教会で連続爆破テロ事件が起こりました。組織的ではありませんが、ロンドンのテムズ川河畔やストックホルムの街中ではトラックが暴走するという悲痛なテロ事件が続発しています。

昨年暮れにはベルリンでクリスマス・マーケットの買い物客にトラックが突っ込むテロが起こりました。宗教上の敬虔な日を狙い撃ちする暴力は周到にダメージを測っています。信仰が強ければ強いほど、同時に強まる異教への不寛容さが世界中を覆っている事実は揺るぎません。

日本は無宗教だと言われます。年末年始の行事などは仏教と神道が渾然一体となって、どこからどこまでがどの宗派の行事なのか判別できなくなっています。お盆の里帰りやお彼岸のぼたもちなど、宗教的儀式という意識はもはやほとんど薄れています。

無宗教だから日本だけがテロの脅威からは安全、というわけにはいかないとは思いますが、ある日隣人が突然襲ってくるという恐怖からは確かに私たちは隔離されて暮らしています。

金と円の動向が示すように、マーケット全体が事態の悪化から逃れようとしています。キャッシュは王様。息をひそめて事態の沈静化(および下値買いの好機)を待っている局面です。
(スズカズ)

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「場」

e.sakurai |2017/04/11 7:34 am

よく使う「場況」と言う言葉。
通常は「市場の状況について説明したもの」。
株式や商品先物などの相場で主に使われる用語で市場動向を知る投資情報として使われています。
しかしもうひとつ使い方がありました。
それは「麻雀の1局の状況のこと」。
チーポンカンでさらされている牌や場に捨てられている牌などの状況も「場況」です。
たまたま一緒のだけですが、麻雀の戦略も株式に転用できるような気もします。

★スピード、効率うんぬんよりもまず戦略ありき
★ツキの予測をする
★リズムをチェックし人運を図る
★考えるな、感じろ
★自分の中に規則性のあるフォームを生み出すことが大事
★ぶれない、軸になる、確信を持った仕組みを自分の中で確立させておく
★場況をアテにしない方がいい
★相手の挙動と関連してどう打つか、全ての「状況判断」に関する先入観を白紙に戻す。
これ全て麻雀の世界からの言葉。
しかも「株式投資は相手のある作業」。
そして「抽象的・感情的でなく具体的・合理的に考える。
場況は過去の事実、相場観は未来の脚本」。
結構該当します。

日経平均株価は6日に年初来安値更新。
「米トランプ政権の経済対策への期待がはげ落ちた。
そこに北朝鮮・シリアといった地政学リスクが浮上」
こういう解釈です。。
因みに日経平均は先週末までに4週連続で下落。
下落幅は939円(約4.8%)。
4週前と言えば新刊「トランプ相場でオタオタするな」の発売の時。
過去は発売後1カ月程度は上昇してその後下落。
でも今回は1か月で4.8%の下落。
アノマリーが変化してきたのでしょうか。

ストボのHPで見つけた投稿からのアノマリー。

やはりストボに新しいキャスター、記者が登場する日は日経平均は暴落する。
今日は村田キャスターの登場で日経平均は暴落。
過去にさかのぼって見れれば、渡部記者(退職)、松下キャスター、
西谷キャスターと何れも登場初日に日経平均は暴落している。
ストボさん、このアノマリー、何とか崩してください!

因みにストボに初めてレギュラー登場したのは2008年8月5日(火)。
日経平均は19円安の12915円。
翌日8月6日(水)は340円高の13255円。
はじめから火曜安、水曜高だったことになります。
時間が経過してもこれは変わらないようです。
数えてみればストボの実況も9年目。
週末の福岡では「ストボをネットで毎日見てます」と投資家さん。
あるいは大阪では「ネットで見てます」と兵庫の投資家さん。
あるいは三重から大阪まで来られた投資家さん。
新年度もよろしくです。

以下は今朝の場況。

「方向感に欠ける展開」

週明けのNY株式市場は小幅に反発。
イーベイのインド電子商取引大手フリップカート・グループへの出資を好感し朝方は小幅高。
中国政府が北朝鮮国境近くに15万人の兵を配備したとのニュースを受けて失速。
その後は回復して小幅高。
WTI原油先物がバレル53.08ドルと5日続伸したことからエネルギー関連は堅調だった。
一方で地政学リスクの上昇から10年国債利回りは利回りは2.36%まで低下。
イエレンFRB議長は明るい景気認識を示したが反応は薄く金融セクターは下落とまちまちの動き。
基本は「主要企業による1〜3月期決算の発表待ち」という声も聞かれる。
その企業決算は15日のJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティ・グループなどが皮切り。
ゴールドマン・サックスの7日付のリポート。
「S&P500採用銘柄の第1四半期の1株当たり利益成長率は9%。
2011年第3四半期以来の好調な成長ペースになる」との見通し。
「エネルギーセクターの1株当たり利益のリバウンドの影響」とされる。

「9陰連は逃れたい」

月曜の東京株式は続伸ながら東証1部の売買代金は3月15日以来の2兆円割れ。
「所詮買い戻し中心の動きだった」と解釈され方向感と自主性のない展開だった。
しかも月曜はほぼ十字線とはいえ8日連続の陰線。
市場心理は良くなくサクラ満開とは対照的な格好となった。
もっとも後場に崩れず3ケタ上昇をキープしたところに多少の成長は見られようか。
大証225先物終値は日中比50円安の18750円。
ドル円の110円台への動きがやや嫌気されるところだ。
売買エネルギー面から「陰の極」とみるか。
空売り比率の40%台定着から「需給悪」と見るか微妙なところ。
25日線と75日線のデッドクロスは見えないフリで「4月第2週は上昇」のアノマリーに期待したい向きは多い。
今年の上昇は3日続伸までの法則に従えば今日が限界。
しかし火曜安なら週末まで3日続伸の可能性が残る。
どちらにしても強気の声が聞こえてこないところが「そろそろ」なのかも知れない。
日経平均採用銘柄のEPSは1228円。
静かに増加していることに業績の先行きへの安堵を感じておきたいところ。
せめて9陰連は逃れたいところ。
(櫻井)。

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桜はまだ咲く

iwamoto |2017/04/10 7:58 am

 10年ぶり、10か月ぶり−。米3月雇用統計は「10」並び。まず、失業率が4.5%と前月比0.2ポイント改善し、2007年5月以来9年10か月ぶりの低水準となりました。市場予想も「前月並み」でしたから、これはポジティブサプライズです。一方、非農業部門の雇用者数は9万8000人の増加と、市場予想の18万人を大幅に下回り、16年5月以来の低水準となりました。2月分も23万5000人から21万9000人に減額修正されました。

 失業率は「完全雇用に極めて近い」状況にあることを示唆するものの、毎月フレの大きい雇用者数が季節要因(3月は北東部が豪雪に見舞われたらしい)から市場予想を下回ったため、株価も朝方の安値▲20ドル安→午後になって△64ドル高→最終的には▲6.85ドル安と、小幅のもみあいで終始しました。

 もちろん、雇用統計の数字以外にも、米軍によるシリア軍事施設へのミサイル攻撃、米中首脳会談やダドリー・NY連銀総裁による資産買入れ縮小に関する発言など消化しにくい材料がたくさんあったことは確かなのですが、結局、週を通じて米国株はダウ工業株30種平均が0.03%、S&Pが0.3%安と極めて底堅い推移でした。ドル円もNY時間での安値が110円16銭と3月下旬の安値を割らずに推移しています(本日は111円の戻り)。

 これで、少なくとも週明けの東京市場は買い戻しが先行する展開となりそうです。先週の急落で株価のテクニカル指標は軒並み弱気シグナルが灯りました。昨年同様、3月権利落ち後の下げが最終局面だった、ということになるかもしれません。

 米国の対シリア攻撃の先行きがどうなるか、これはまったくわかりません。個人的には「ウォール街は案外歓迎するのでは…」と思っていたのですが、そうでもなかったようです。

 ただ、これで急落していたトランプ大統領の支持率は上昇するでしょうし、税制改革など期待された経済政策がなお難航しそうな状況からみると、この政権の政策課題に取り組む優先順位が変わってくる可能性が考えられます。中国首脳との初めてのディナーの最中にミサイル攻撃の指示を出し、食事が終わったところで徐に説明を始める…といった伝えられるシーンは映画でも見ているような生々しさがありますが、これは「最強の大国」イメージの復活につながりそうな感じがします。その一方で、この政権にとって最もヤバい存在だったバノン氏をSNC常任委員から外すなどバランス感覚が戻り始めています。案外、この先強かさを発揮することになりそうです。

 今週は14日(金)が「グッドフライデー(聖金曜日)」で米国市場(英、仏、加、香港なども)は休場。変則日程のため、慌ただしい動きが続くでしょうか。それとも、落ち着きが戻りますか。兜神社の桜は雨にも負けず咲き続けています。(イワモト)

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厄介な展開

r.matsushita |2017/04/07 8:01 am

 昨日の日経平均264円安の後、時間外の日経225指数先物は100円以上戻しており、ちょっとホッとするところですが、にわかに「地政学的リスク」と「米国の金融緩和路線からの転換」が株式相場の中心材料として出てきてしまったようです。

 地政学的リスク≒北朝鮮問題、ですが、この問題は米中関係と密接に関連しており、まさに米中首脳会談が開かれる折、ということで注目材料になってしまいました。株式市場では、石川製作を代表とする「武器製造関連銘柄相場」が起きていてそれなりの賑わいですが、全体としては個人投資家は相場から少し距離を置く(したがって、マザーズ指数、ジャスダック平均などが下がる)、市場全体で見ればまたいつもの(海外勢中心の)「売り屋」が活発に動く(つまりは指数先物が叩き売られる)、せっかく日本の株式相場が円ドル相場離れできそうだ、というところに、いささか旧式の「アベトレードの売り」に見舞われるわけで、不愉快でイラつく思いの市場参加者が多いでしょうね。

 米国の金融緩和路線からの本格転換=連邦準備銀行の資産圧縮=保有する国債の量を減らして行く、ということなのですが、準備銀行が市場に供給する資金の量が減る方向を過大に見積もれば当然株安方向、となるのは分かるのですが、米株市場はともかくとして、昨日の日本株の反応は過剰だったように思えます。

 2013年5月〜6月に起きたいわゆる「バーナンキ・ショック」再現か?と見る向きもあって、それは確かにその通りなのかもしれません。(大きく上がった相場が何かをきっかけにして短期間で大幅下落する、というのは株式相場ではよくあることですから。)

 いずれにしましても、しばらくの間はVIX指数が上昇する局面で落ち着くのを待つ、ということなのでしょう。

 地政学的リスクとFRBの政策がクローズアップされてしまい、陰に隠れた感じもしますが、日米の通商問題も実はかなり重要です。

日米経済対話
 今月中旬にも日米経済対話が始まる予定です。日本側の代表は麻生副総理、米側はペンス副大統領ですが、報道によりますと米側からロス商務長官も参加するとのことですから、日米の貿易不均衡が議論になることは明らかでしょう。

 おそらくは、攻める米国、守る日本という形になろうかと思います。論議の過程で当然米側から厳しい注文が出るでしょうから、それを受けて株式相場が波乱する(実態は、それをネタに空売り筋が売り仕掛けをして、それが相場変動につながる、ということでしょうが)ことは想定しておかないといけないでしょうね。

 現時点で注意しておくべき論点はおおむね以下の辺りではないかと思います。

・自動車、自動車部品分野
・日本の輸出企業に輸出部分の消費税が還付されているのは輸出補助金であるとの主張
・日銀の金融政策が円安誘導であるとの主張
・日本向け米農産物輸出拡大交渉

 いずれも、米側が不当だと言うのであれば言いがかりのようなものですが、現実に対米赤字を記録している以上、米国は主張するという立場でしょうね。

 実際に対話が始まる前から円高(そしてそれを受けた株安)が起きてしまっているわけですが、結論から言えば、いろいろ懸念することはあるとしましても、日本経済が決定的な打撃を受けるようなことにはならないと思っています。

 とはいえ、自動車・自動車部品業界は何らかの対策を具体的に打たねばならないでしょうし、日銀の金融緩和はもう追加はない、と思わざるを得ない、あるいは、米国でいわゆる国境調整税が導入されることは想定しておく、という辺りは勘定に入れておく必要はあるのでしょう。

 過去の日米対話の歴史を簡単に振り返っておくのも有益かと思います。だいたい、以下のような感じでした。

1970年〜72年
日米繊維交渉⇒繊維製品の輸出自主規制を受け入れで決着

1977年〜1988年
日米牛肉・オレンジ交渉⇒輸入数量合意で決着、牛肉・オレンジなどの関税段階的引き下げ受け入れ

1970年代〜1993年
日米自動車問題⇒輸出台数自主規制、米製部品購入拡大、規制緩和措置(1990年代)などを実施したが、また米側が蒸し返しそうな勢い。

1985年〜1991年
日米半導体協議⇒1991年に第2次日米半導体協定締結(外国製半導体の市場参入促進ダンピング防止策)
半導体で日米が揉めていた!など、今となっては懐かしいような話です。

1993年〜2001年
日米包括経済協議⇒金融分野の参入障壁緩和、対日直接投資促進措置、医薬品の輸入拡大、などが実現

 とまあ、ずいぶんといろいろな協議をして来たものです。

 2001年以降は、2001年〜2009年にかけて「成長のための日米経済パートナーシップ」協議が行われて、幅広い分野について協議がなされて要望書の交換、報告書の提出が行われたとのことです。

 総じて言えば、日米間ではこれまでに十分な協議(意思疎通)が行われて来ており、それによって、どちらかと言えば両国がウィン・ウィンになっている、ということかと思います。これから起きることも方向は同じでしょう。

平成29年4月7日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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北朝鮮と株価

k.nakajima |2017/04/06 8:12 am

日経平均株価は年初早々の1月5日に19615円の2015年以来の高値を付けた後、1月18日には18650円まで調整を続けます。 その後トランプ政策への期待が膨らみ、3月02日には19668円と年初の高値を抜き強気シグナルが点灯ししたのです。 しかし、そうした期待を一気に抑え込んだのが3月6日に北朝鮮が日本海に向け発射した4発のミサイルです。 捕捉されにくい移動式の発射台を使い4発同時に発射するなど技術の高さを示したことから、北朝鮮への脅威が極めて現実のものとして市場では意識し始めます。

漠とした脅威を北朝鮮に感じながら株価はその後ダラダラと下落を続け、4月4日には18703円と1ヶ月で1000円近い下げになっています。 この北朝鮮の脅威に関しては3月9日の当ブログでコメントを出していますが、そのポイントとして後ろ盾の中国の動向が鍵を握ると指摘しておきました。 又北朝鮮のミサイルがアメリカ本土まで到達する性能があるとの認識が広がり、アメリカ政府の態度が硬化したことがこの1ヶ月の大きな動きです。 そしてその当事者の米中の首脳がいよいよこの4月6,7日に会談するのです。

通商問題と安全保障の大きな2つのテーマが主題になると見られています。 特に北朝鮮問題に関し「中国が北朝鮮に適切な行動をとらなければアメリカ単独でも行動を起こす」とのトランプ発言は事態の深刻さ示しています。 長嶺駐韓大使の突然の帰韓に関し色々な憶測が飛んでいますが、韓国に居住する4万人に近い邦人を安全に避難させることもその大きな使命に入っている筈です。当面は北朝鮮から目を離せません。 以下に北朝鮮に絡む動き、行事等確認しておきます。 株価はこうしたスケジュールに一喜一憂する可能性があります。

4月6,7日    米中首脳会談
4月15日     北朝鮮の太陽節(金日成誕生日)
4月28日     北朝鮮問題を討議する国連安保理閣僚会議(ティラーソン国務長官出席)

4月末       米韓合同軍事演習終了
5月9日      韓国大統領選挙
6月25日     日鮮戦争67周年

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売上げを+10%伸ばす秘策とは。。

k.suzuki |2017/04/05 7:50 am

春が来てお花見シーズン真っ盛り。新入社員も入ってきて、人事異動で新しい顔ぶれがそろって、さてオフィスで最初にすることは歓迎会です。仕事に区切りをつけた人から7時をメドに集まってくださーい、と幹事さんが張り切ります。

景気の動きはあいかわらずはっきりとしませんが、久しぶりに人がかなり動いたという印象のこの春、さすがに外食店は忙しそうです。人手不足の影響も大きいのでしょうね。店員さんがなかなか注文を取りに来てくれません。

その小売ビジネスの現場が大きく変わりつつあります。食品スーパー大手のヨークベニマルは、今後3年間で店舗のレイアウトをがらりと変えるそうです。惣菜と冷凍食品の売り場を3割も増床し、地元の野菜の取り扱いも増やす予定です。

今年度は30か店、向こう3年間で合計90か店という息の長い事業計画の一環で、合計で100億円を投じます。ヨークベニマルにとって過去最大の投資額にあたります。

すでに改装を行った店舗では、売上高が改装前に比べて10%近く伸びており、これは効果が大きいと判断したとか。どうやらヨークベニマルはスイートスポットをジャストミートで探り当てたようです。

消費者の日常に直結する食品スーパーの現場では、来店客を増やすためにスマホに直接ポイントを配信したり、SNSを使った口コミマーケティングを活用したりと、見えないところで最先端のテクノロジーを駆使して集客しています。しかし売上げを伸ばすカギは、やはり売り場の改善が最も効果があるようです。

決め手は「惣菜」と「冷凍食品」の売り場拡大でした。働く女性の増加や高齢者・若者の一人暮らし世帯の増加で、晩ご飯のおかずには手軽な食材が求められているという時代の要請です。

さらに「地元産の野菜」。食の安全に対してシビアな目は今も昔も変わっておりません。

マーケティング戦略も大切ですが、小売ビジネスの王道は「顧客のニーズ」に沿ったものを提供する、というシンプルな鉄則に回帰するようです。そうとわかれば人手不足の小売業界でも、店内改装という設備投資ニーズが増えてくることになりますね。
(スズカズ)

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「強いって?」

e.sakurai |2017/04/04 7:36 am

2016年度の売買代金トップは任天堂。
昨年夏のポケモンGO人気は記憶に新しいところ。
売買代金で12.6兆円。
2位はトヨタの13.9兆円。
3位は三菱UFJの13.2兆円。
以下、ソフトバンク12.4兆円、三井住友UFJ8.5兆円、みずほ7.3兆円、
ファーストリテ6兆円、ソニー5.7兆円、東芝5.5兆円、KDDI4.9兆円、
NTT4.5兆円、ファナック4.4兆円、JT4兆円、富士重工3.9兆円、
日産3.8兆円、ホンダ3.7兆円、野村3.7兆円、村田3.5兆円、
キーエンス3.2兆円、ドコモ3.2兆円。
これがベスト20でした。
時価総額上位、225寄与度上位に偏るのは事の性質上致し方ありませんこれが現実。
どちらかというと個人というよりも機関投資家の売買に左右されている様子がうかがわれます。

だからといって日曜日経朝刊で1面トップのような「株主優待バブル」というのもうなずけないところ。
株主優待導入企業は1375社で全体の3分の1。
金券・ギフト券が27%、食品が24%、生活用品が18%、レジャー優待券が14%、食事券が8%。
自社のサービスの優待は理解できますし、悪くはない存在。
しかし、クオカードやお米の優待はやはり疑問が残ります。
優待狙いの優待クロスなんて言葉まで登場するようでは本来長期株主を獲得する筈の意味は薄れるでしょう。
そもそも株主優待は株価が低迷していた頃の名残りみたいなもの。
コストばかりかかって株主獲得に役立つほどでもないならやめるべきという声もある。
ココスジャパンの1000円の食事券と5%割引カードの獲得費用は10560円。
中央魚類の3500円の水産物セット獲得コストは23400円。
裏返せば「株主優待」をありがたがるのは株式投資が下手な投資家の象徴みたいなもの。
そこに付和雷同するのは「自分も株式投資は下手」と証明しているようなものに映ります。
米国の株主優待実施企業は10社、英国が30社程度。
優待バブルなんて言われるのは日本特有のものでまったくグローバルスタンダードではありません。
ふるさと納税と株式投資は違うもの。
ここはハッキリしておきたいところ。
優待が欲しいのか、利益が欲しいのか。
優待に目がくらむと投資の焦点はボケてきます。
だから儲からない。
その儲からない言い訳が優待だとしたら本末転倒。
自社の事業にからんだ優待はあってしかるべきでしょう。
しかしそれ以外は発行企業にしてもコスト増だし不必要。
優待総額は1000億円で純利益の2%程度だとされます。
しかし、総額は1000億円でも配送コストなどもろもろ考えればコスト倒れになる可能性もあります。
配当で還元してくれる方がどれほどよいことでしょうか。
株が売れない時代の遺物なんか忘れて市場は前を見るべき時が来たような気がします。
「株式投資は優待ではなく配当と値上がりで利益を得るもの」。
この原理原則を忘れてはいけないでしょう。

熟練の市場関係者さんからのメールで見かけた「精神的に強い人が絶対にしない10のこと」。
「自分なりに考え解釈し消化して下さい。
その姿勢は人生だけでなく、相場の世界でも同じように!」とありました。
FORBESの電子版を見てみたら・・・。

精神的な強さは、全く予期していないときに起きたことによって試されるものだ。
その人の精神的なタフさは、困難なときに何をするかではなく、何をしないかというところに明確に示される。
(1)失敗にこだわらない
(2)ネガティブな人と付き合わない
(3)自分を疑わない
(4)謝罪を求めない
(5)自分を哀れまない
(6)恨まない
(7)誰の悪影響も受けない
(8)人のことに介入しない
(9)怠けない
(10)悲観しない
結論:ニュースを見れば、戦闘や攻撃、脆弱な経済、企業の破綻、環境災害など。
世界は悪い方向に向かっていると思わせるようなことばかり。
だが、精神的に強い人は、自分にはどうすることもできない事柄に心を捉われたりしない。
確かに「強い」。

以下は今朝の場況。

「強弱感は対立」

週明けのNY株式は小幅に続落。
金利の低下から金融株への売りと企業業績への期待からの押し目買いが交錯したとの解釈。
もっともロシアではサンクトペテルブルグで地下鉄爆破事件が発生。
ISM製造業景況指数は前月比マイナス。
3月の自動車販売台数が全体として軟調だったことなど悪材料が多かった割には下げ渋りの印象。
週末発表予定の雇用統計や米中首脳会談を材料視した格好での様子見モードというところか。
個別では1〜3月期の生産・出荷台数が四半期として過去最高となった電気自動車のテスラが7%上昇と大幅高。
上場来高値を更新した。
同社の時価総額はフォードを抜き時価総額第2位の自動車メーカーとなった。
10年物国債利回りは週末に比べて0.06%低下し2.32%。
こちらは「景気への楽観的な見方が後退」との解釈。
ISM製造業景況感指数は57.2。
前月から0.5ポイント低下し市場予想(57.5)をやや下回った。
もっとも雇用指数は58.9と2011年6月以来5年9カ月ぶりの水準に上昇。
強弱感は対立する。
また1〜3月期GDPについても年率1.2%増〜3.7%増と市場予想の上下幅が拡大。
強気弱気混在相場と言える。
少なくとも過去最高値圏でもみ合っている現実は相場の先行きをポジにとらえていると読みたいところ。

「空売り比率は39%台に低下した」

週末は後場下落、週明けは後場上昇と連日で後場に変化の日々。
153円安で73円高で半分戻しただけのことだが反発は反発。
ショボかった日銀短観に惑わされず5年ぶりに期初初日の上昇となった。
週末期末は12年ぶりの日足陽線。
2006年から昨年まで11年連続での「陰線」で2000年以降、3月最終日に「陽線」となったのは2005年のみ。
「12年ぶり」の意義は大きかった。
東証2部株価指数は初の6000ポイント台。
東京エレクトロンは16年ぶりの高値。
毎年サクラの開花日が違うように株式市場だって10年一日ではないということでもある。
イヤな指摘は「日経平均の25日移動平均(19307円)と75日移動平均(19257円)。
早ければ10日にはデッドクロスの可能性」。
前回のデッドクロスは昨年6月15日。
ブレグジットの前だったと言うのは気にかかる。
225先物大証夜間取引終値は日中比60円安の18990円。
空売り比率は39.9%と微妙な低下。
日経VIは17.20まで低下した。
日経平均採用銘柄のPERは15.55倍でEPSは1220円79銭。
もう少し増加すれば、相場の春もやってくるに違いない。
海外投資家はトランプラリー以降日本株を約4兆円買い越した。
一方年初から3月第4週までに現物と先物の合計で約2兆円を売り越し。
でも株価指数は底堅い。
日銀は同期間にETFを約1.6兆円買い越し。
この需給も記憶にとどめておきたい。
1993年以降のTOPIXの月別騰落率は4月が最も高い。
米国株も同様で1950年以降、4月のNYダウは平均2%程度上昇。
(櫻井)。

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桜満開の週

iwamoto |2017/04/03 7:43 am

 気象庁は東京都心の桜が満開宣言。本日、例大祭が行われる兜町の氏神様、兜神社の境内の桜も八分咲き、もう満開です。

 本日から名実ともに4月相場。この4月は年度が改まる月でもあり、新しい法律や制度がスタート。学校や職場では“新人”が誕生。ここから新しい歴史を刻み始める企業も数多い−そんな月です。過去の「4月の出来事」を振り返ると、年度始めの月らしい出来事が並んでいるのもそんな巡りあわせから。もっとも、「IOS投信の破綻によるショック安」(1970年)、「日経平均採用銘柄の大幅入れ替え」(2000年)など市場内部の事情による出来事はこの4月に特有なものというわけではありません。

 この4月には外国人投資家が買い越すという習性があります。過去10年間、パーフェクトで買い越し、という記録は他の11か月にはない希有なものです。第2四半期(4〜6月)の最初の月ということで、海外の投資信託や年金の運用がスタートする。あるいは、米国では4月15日が税の確定申告の最終日。5月にかけて税還付があり、それが再投資に向けられて市場に還流する(30兆円規模達するそうです)ことも要因でしょうか。

 そのため、過去10年間の星取りをみると、○○○●○●○●○●の順。6勝4敗は悪くありません。それに、この8年間は完璧な千鳥足。昨年が●だったので、今年は○の番ということになります。

 さて、トランプ大統領の就任式(1月20日)から数えた“ハネムーン100日”は4月28日まで。100日後の危機をどう乗り越えるか、それは大統領自身だけでなく、株式市場にとっても重要な関心事になりそうです。

<主な4月の出来事>
1911年4月3日 日本橋改築・開通式(木橋から石橋へ)
1912年4月14日 タイタニック号沈没
1927年4月1日 鈴木商店破綻で東株暴落(22日にモラトリアム)
1927年4月6日 アテネで第1回近代オリンピック開会
1952年4月28日 対日平和条約発効
1960年4月30日 ソニーが世界初のトランジスタTV発売
1961年4月1日 国民皆年金制度が運用開始
1964年4月1日 日本がIMF8条国へ移行
1970年4月30日 国際投信IOSの破綻で日本株急落
1975年4月30日 ベトナム戦争終結
1981年4月23日 三井物産、イラン石化事業からの撤退決定
1984年4月1日 大蔵省が為替先物取引の実需原則撤廃
1985年4月1日 NTT、JTが民営化、新発足
1985年4月9日 中曽根首相が「外国製品1人100ドル購入」を呼びかけ
1986年4月26日 ソ連のチェルノブイリ原発で炉心溶融事故
1987年4月30日 東証の時価総額375兆円と初の世界一に
1989年4月1日 消費税、キャピタルゲイン課税導入
1991年4月30日 取引所の立会時間延長
1997年4月1日 消費税率5%に引き上げ(3%から)
1999年4月30日 東証株券売買立会場を閉鎖(121年の歴史に幕)
2000年4月24日 日経平均、30銘柄の入れ替えを実施
2001年4月24日 小泉内閣成立
2002年4月1日 みずほ銀行スタート、ATMトラブル
2003年4月9日 フセイン体制崩壊、湾岸戦争終結
2005年4月1日 ペイオフ全面解禁
2005年4月9日 北京で小泉靖国参拝に抗議する1万人デモ
2009年4月30日 米クライスラーが経営破綻(6月にGMも)
2014年4月1日 消費税率8%に引き上げ
2015年4月11日 米大統領とキューバ国家評議会議長が直接対談
2016年4月1日 電力小売り完全自由化
2016年4月16日 熊本県で震度7の大地震

(イワモト)

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新年度相場に期待

r.matsushita |2017/03/31 8:01 am

 日米ともに政治的な不透明感から株式相場が沈滞、という風に言うことができるのかもしれませんが、さほど弱いわけでもないということかと思います。

 海外勢は3月19日からの週に日本株を7543億円の売り越し、これで6週連続の売り越し、というニュースがありました。毎週7543億円ずつ1年間売り続けたら、年間で約40兆円売り越す計算ですから、大変な額です。

 もちろん、年度末特有の現象で、海外勢の海外持ち分を日本国内に振り替えるといったテクニカルな要因もあったでしょうから、売りが即相場下落の要因になるわけではないということはあろうかと思いますが、海外勢の売りを国内勢(主役は日銀?)が買っているという構造のようです。 

 海外勢の売りによって相場が崩されていない、と見るなら日本株は昨年のような脆弱な状況には今はない、と言ってもいいようにも思えます。

 願わくは、という感覚ですが、来週からの新年度相場で日経平均がもうすこし上昇して、ある程度の上昇の後に5月の売りを意識する、といった展開になることを期待しているところです。

トランプ本命政策
 オバマケア代替法案撤回で政治的指導力に疑問符が付いた形になったトランプ大統領ですが、さっさと諦めて正解だったのではないかと私には思えます。オバマケアが廃止できれば、巨額のインフラ投資の原資などいとも簡単に出て来るということだったのかもしれませんが、医療保険制度の改廃が簡単にできるはずもなく、いつまでもそれに拘わっているより、本筋に戻ろうということでしょう。

 大統領の作戦とすれば、特定国の国民の入国禁止という大統領令が裁判所から差し止めに合い、オバマケア代替法案も撤回、というのは読み筋で、もっと重要な政策を出す前に露払いをしたということなのかもしれません。(大統領選における公約でしたから、出さないわけには行かなかったということで。)

 トランプ政策は具体的にこれからいくつも出て来るのでしょうが、日本株への「ネガティブな影響があるか、あるとすればどの程度か?」という観点で考えてみたいと思います。

1. 法人減税・個人所得税減税
 法人減税・個人所得税減税については、日本株にはほとんど無関係だろうと思います。米国で法人税率引き下げとなれば、日本においても法人税率引き下げの議論がまた活発になるのかな、という程度のように思います。法人税率が引き下げられれば、米国株にはプラスですから、その好影響を日本株が受けるということになろうかと思います。そういう意味で、法人減税・個人所得税減税のニュースは飛ばし読みでいいような気がしています。

2. リパトリ減税
 リパトリ減税については、実施となった時にどれくらいの規模で米国に資金が還流するか(現在2兆ドルを超える企業の利益が海外に置かれているとされています。)それから、その時の為替相場の状況がどんなか、によって、状況によっては円ドル相場にかなりの影響を及ぼす可能性があると思います。(2005年の実施時には、3600億ドルがリパトリしたと言われています。)ドルの還流が巨額でかつ急速になれば、円ドル相場の変動を引き起こす可能性が強いということです。

 リパトリ減税の税率がどうなるか、その後に実施されるはずの米法人税率の引き下げがどうなるか、など、複雑に絡み合う要素がありますが、リパトリ減税が実施方向、となると、最初は資金の米国への還流の先送りが発生し(結果、ドル安になりやすい)、実施されると還流が起きる(結果、ドル高になりやすい)、といった想定が可能です。(ただ、これはリパトリ減税の「期間」にも大きく依存します。)

 米政府としては、海外にある米国企業の資金を還流させることで税収増加を期待できるわけですから、どこかで法人税減税に先立って実施したいところでしょう。

 資金の米国への還流では、金利への影響も考えられます。金利は米国景気に影響しますので、いろいろと考えなければならないことが多いということです。政策の日本株への影響は、その時の情勢に大きく依存しますので、いろいろ取りざたされるようになったらその時真剣に考えることにしましょう。

3. 巨額のインフラ投資
 この政策も日本株にはほとんど悪影響がないだろうと思います。むしろ、日本の製造業にはプラスの大きい政策となると思われます。すでにコマツ、日立建機などがトランプ・インフラ投資関連銘柄になっていますが、その方向が続いて物色銘柄の範囲が広がると見ておけばいいように思います。

4. 国境税導入
 これは結構厄介な政策になると思います。結局この問題は、米国と日本を含む他国との間の税制の根本的な差異から来るものなので厄介だ、ということです。放送の中で時折申し上げているのですが、アメリカには連邦税としての消費税(付加価値税)がありませんが、日本や欧州には消費税(付加価値税)があります。その結果、例えばアメリカが日本に輸出をしますと、その品目には日本の消費税が掛かります。(輸入者が支払います。)一方、アメリカが日本から輸入すると、その品目には消費税が掛かりません。これを「不公平」と言われてしまうと対応策がないのです。(税制の違いとしか言いようがありませんので。)

日本からの輸出に消費税が掛からないのは当たり前(日本政府が外国人の輸入者から日本の消費税は取れませんので)なのですが、輸出企業の輸出に消費税を掛けないで、税額の調整において還付金が支払われることがある、ということをもって「輸出奨励金だ」と言われる、というのは言いがかりのようにも思えますが、そうでもなくけっこう正当だとも言えるのです。事実、日本国内においても「トヨタは税金を払わず、国から莫大な補助金をもらっていてけしからん」といった論調はずっと前からあるのです。

国境税はアメリカ国民が負担することになるのですし、本来保護貿易主義だの何だの、といったこととは無関係のはずですが、国境税が保護主義と関連してニュースになれば、それはけっこう日本株相場に悪影響を及ぼす恐れはありそうです。アメリカが国境税を導入すると他国がその対抗策を取る、といったことが話題になるだろうと思われるからです。

トランプ政権は、アメリカ企業の過度の「グローバル化」を阻止しよう(米国内の雇用を守り、増やすために)としているのだ、ということにこの税制の目的がある、という理解をするとしますと、国境税が仮に導入されても、日本(の輸出企業)が大打撃を受けることはない、という「本筋」を理解した上で、国境税⇒保護主義⇒日本経済に打撃、といったニュースや論調、それに対する相場の反応を見極めて行くことにするのでしょうね。

国境税とは直接関係しませんが、アメリカが進めようとしている二国間の貿易協定も注意して見ておくべき政策でしょう。対日本ということでは、現実問題としては、アメリカ産農産物と原油・ガスの日本の輸入拡大、前者は日本の農業政策と絡む、後者はエネルギー調達の多様化と絡む、といった観点があります。日本からアメリカへの自動車輸出が大きすぎる、というのは、話としては出て来ても、実際には問題にならない、と私は思っていますが、懸念事項のひとつではありますね。

5. 規制緩和
 規制緩和では、金融分野とエネルギー分野に特に注目するのだろうと思います。ただ、米国で規制緩和が進行しても、特に日本経済が悪影響を受けるわけではありませんので、この政策も日本株への悪影響という観点からはあまり重視する必要はなさそうです。(三菱UFJがアメリカで活動しやすくなる、といったことはあろうかと思いますが。)

 いずれにしましても、日本の株式相場への悪影響ということからしますと、その時日本株がどのあたりの水準に居るか?ということが、実は一番の「重要な観点」です。日本株の位置に留意していろいろな出来事・ニュースの影響を考えて行きたいと思っています。

平成29年3月31日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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メタンハイドレート

k.nakajima |2017/03/30 7:59 am

メタンハイドレート(methane hydrate)とは、天然ガスの主成分のメタンガスが深海の低温、高圧下で水と混ざり合い結晶化した物資で、見た目が氷の様なので「燃える氷」とも呼ばれています。 又ハイドレートは水が他の物質と結合して出来た化合物を指します。 石油や石炭に比べて燃やした時の二酸化炭素の排出量が少なく、環境に優しい燃料との評価が確立しています。 しかし抽出を間違いメタンガスが空気中に漏れると、その環境への悪影響は極めて大きいため掘削には特に注意が必要になります。

日本近海には豊富に存在すると指摘されていましたが、2013年3月に愛知・三重県沖の海底にあるメタンハイドレートから、世界で初めてのガスの取り出しに成功し、事業化、商用化への期待が一気に高まったのです。 その時は水とガスに分解して取り出す手法で計12万立方辰鮖砂个靴燭里任后△砂が混じるなどのトラブルが発生、技術的には未完成との評価でした。  ただエネルギー自給率が5%未満と先進主要国の中で一番低い日本にとって、次世代の国産エネルギーとしての期待は当然高く、その開発は国策として位置付けされたのも当然と言えます。 今年3月16日の新聞報道では、2023年以降の商用化を目指し、関連する約50社が連携し専門組織を4月に立ち上げその開発の提案を安倍首相に提言することになっています。

日本が採掘や調査を他の国に邪魔されずに自由に出来る排他的経済水域(EEZ)内には国内で消費する液化天然ガス(LNG)の100年分に相当するメタンハイドレートが眠っているとの試算もあります。 排他的経済水域とは基線(干潮時の海岸線)から200カイリ、キロメターでは370kmに相当する広い範囲です。
この開発が軌道に乗れば液化天然ガスだけではなく原子力に代わる新しいエネルギーになる可能性が高く、原発問題にも一石を投じる事になりそうです。
大いに期待し行方を見守りたいものです。
(中嶋)

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4月から大きく変わる。。何が? 働き方が

k.suzuki |2017/03/29 8:04 am

今年の春の話題は、横綱・稀勢の里の涙の春場所優勝、WBCサムライ・ジャパンの活躍(惜しくも準決勝で敗退)、サルマン国王の46年ぶりの来日、英国のEU離脱通告、あたりでしょうか。

少し前まであれだけ大騒ぎしたトランプ大統領に関する話題がめっきり減っています。それは世界にとって少しだけ平和を意味します。トランプ政権の誕生過程にロシア政府がどこまで関与したのか、いわゆる「クレムリン・ゲート」に関してFBIを開始したようで、いずれ世間を騒がせることになるかもしれません。つかの間の平穏と思っていた方がよさそうです。

本日(3月29日)の日本経済新聞に興味深い記事が載っていました。社会的責任投資の残高が昨年、世界全体で2500兆円に達したそうです。世界持続的投資連合(GSIA)がまとめました。前年比で+25%もの高い伸び率だそうです。

2500兆円とはたいへんな金額です。ヘッジファンドの残高が1000兆ドルとか、デリバティブズが3000兆ドルとか言われますが、それはレバレッジを効かせた想定元本であって、必ずしもその金額が実際に投資されているわけではありません。それに対して今回の記事にある2500兆円は、おそらくすべてが現物投資されていることでしょう。

調査に当たったGSIAは、環境保護や社会問題への取り組みを考慮した上で企業への投資の可否を決める、持続可能な投資を普及させるための国際組織です。本名は“Global Sustainable Investment Alliance”です。

本日の日経新聞によれば、これほどまでに投資残高を拡大させた原動力は欧州の投資家です。欧州全体で2500兆円の半分強を占めており、それに続く米国と合わせて欧米が全体の9割を占めています。日本は2%に過ぎません。

これとは別の記事で3月7日の日本経済新聞には、世界最大の機関投資家であるブラックロックが、投資している日本の上場企業400社に対して「働き方改革」を推進するよう求める書簡を送ったと報じられました。ブラックロックは日本だけではなく、全世界で1200社の投資先に同じような書簡を送付したそうです。

ブラックロックの真意はどこにあるのでしょうか。手紙の内容は、グローバリゼーションの果実が都市部に偏っていることが無視できなくなったこと、テクノロジーの進歩で職を失う労働者が出てくる恐れがあることを書面では指摘しています。その上で企業の持続的成長には、社員の働きがいや満足度を高めることがこれまでになく重要になっていることが強調されています。

安倍政権は「働き方改革」を強く推し進める方向を打ち出しました。有識者会議で議論を続け骨格はできあがりました。4月以降は関係省庁で具体的に練り上げてゆき、予算審議を終えた終盤国会や秋の臨時国会で法案に仕上げてゆく方針です。概念が先行してとらえどころになかった「働き方改革」が、日本経済の枠組みを根本から変えてゆくことになる可能性が出てきました。

まもなく4月、さまざまな物事が動き始めます。金曜日からはいよいよプロ野球も開幕ですね。
(スズカズ)

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「逆利回り革命のハザマ」

e.sakurai |2017/03/28 7:30 am

北米では2017年1月分からBBレシオが突然公表中止となりました。
背景は一部の製造装置メーカーがデータを出さなかったため。
「出荷が間に合わない程の状況なら、他社が付け入る隙があることを公表することになりかねない。
だからデータ提出を拒んだのではないか」という指摘も聞こえてきます。
20年前にも半導体チップの分野で起こりました。
米半導体工業会(SIA)は1997年1月発表をもって半導体チップの米国BBレシオの発表を中止。
理由は北米半導体メーカーのシェア低下など。
しかしIT関連株が世界的に1995年頃から2000年まで集中物色の対象であった最中の出来事。
その後にITバブルが登場したことは記憶に新しいところです。

日経ヴェリタスの特集は「花開く増配株投資」。
「目指せ配当長者」というのがサブタイトル。
花王(4452)は2017年12月期に28年連続の増配予定。
これが日本の上場企業で最長記録。
上場企業全体で2016年度の配当総額は過去最高の11.9兆円。
金融危機の09年度比でほぼ倍増します。
しかも配当性向は平均35%程度。
「3分の1時代」が到来する訳です。
因みに、野村証券調べでは欧州企業の平均的な配当性向は5〜6割。
米国は3割で配当性向だけ見れば日本と同水準。
しかし自社株買いを合計した総配当性向は主力企業で100%を超えています。
「日本では長期金利を配当利回りが上回る「逆利回り革命」が常態化。
日銀が金融緩和継続しているだけにこの状態は当面変わりそうにない。
配分積み増しの動きが広がれば配当利回りが高まる。
債券から株式への投資マネーのシフトが加速する可能性もある」というのが結論。

土曜の日経朝刊の見出しは「のれん、適宜再評価を」。
国際会計士連盟の会長さんへのインタビューでした
「日本で監査への信頼感が高まることがアジア全体として重要」。
ごもっともなこと。
「東芝などのれんの扱いは小刻みに再評価すべきだ」との提言。
「監査人が具体的な意見を記す長文監査報告所が世界中に普及しはじめた」。
「監査に責任を持つパートナーを5〜7年で交代させる制度が望ましい」。
だったら時価評価重視のアメリカ的国際会計基準を改廃するのも一考でしょう。

以下は今朝の場況。

「NYダウは5年半ぶりの8日続落」

NYダウは8日続落。
2月14日以来ほぼ1カ月半ぶりの安値となった。
8日続落は2011年7月22日から8月2日までの8日続落以来。
5年8カ月ぶり。
もっとも朝方の下落幅は180ドル超。
トランプ米大統領の議会運営力への警戒感が台頭した。
その後「金融などの規制緩和は議会を通す必要はなく、景気押し上げ効果への期待は残る」という楽観的な見方もあり
下落幅を縮小した格好。
NASDAQ指数は続伸、S&P500指数は小幅続落。
化学のデュポン、半導体のインテル、製薬のファイザーが上昇。
シェブロン、ゴールドマン、通信のベライゾン、GE、アメリカン・エキスプレスが下落。
ゴールドマン・サックスのレポート。
「議会の焦点は予算問題などに移ろう。
財政改革着手前に、18年度予算決議を成立させなければならない。
税制法案が来年可決の見通し。
審議開始の時期は6月以降になると予想。
法人税引き下げと個人税の小幅減税を含む法案に対して議会共和党の幅広い支持を得られるだろう」。
10年物国債利回りは2.38%まで下落(価格は上昇)。
6月の利上げ確率は前日の53.9%→48.5%へ低下。
VIX(恐怖)指数は13ポイント台半ばまで上昇。

「反騰か」

週明けの日経平均株価は3日ぶりの反落。
NY株式夜間取引の大幅安を横目て見ながらの展開だった。
ドル建て日経平均は金曜が173.31と昨年来高値を更新しており機関投資家の利食い売りがあっても不自然ではなかった。
「最後の大バーゲンでも高配当銘柄や優待に手厚い銘柄などを物色するような動きはあまり見られない」という声が聞かれた。
東京個別の上昇は「指数ではなく個別の個」の象徴のように思える。
シカゴ225先物終値は大証日中比170円高の18980円。
権利配当落ち130円程度を加味すれば現物指数で19110円レベルで19000円台回復となっている。
25日線からマイナス1.9%かい離は中途半端な水準ながらさすがにスピード違反的だったということかも知れない。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲9.653%(前日▲11.199%)。
買い方は▲5.867%(前日▲4.791%)と接近。
空売り比率は41.1%とまた40%台までの上昇した(前日35.7%)。
22日の下落で40%台になり23日には30%台に低下。
このリズム感は残っていよう。
火曜日ながら期末権利配当付き最終日だ。
(櫻井)。

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「断念」は「残念」か

iwamoto |2017/03/27 8:01 am

 24日米議会で採決が予定されていた、オバマケア(医療保険制度改革法)代替法案が取り下げとなりました。背景には共和党内の保守強硬派と穏健派の対立があり、それをライアン下院議長がまとめきれなかったと解説されています。トランプ大統領にとっては優先順位の高かった政策を成立させることができなかったことで「大規模減税やインフラ投資、規制緩和など他の経済対策に支障が出る」との直前まで市場を覆っていた懸念材料に現実味が出てきたことから、NYダウは24日も下げ続け、結局は7日続落して59ドル安。週明けの東京株式市場にも暗雲…と、一見するとそう思われますが、実はそうでもないかも。

NY市場の24午後の動きは興味深いものがあります。午前中は高く始まり、午前11時過ぎに前日比61ドル高の高値。午後になって「採決先行きに不透明」との観測に下げ始め、午後3時15分には126ドル安まで下げました。その後「採決を断念」との報道があった後から切り返し、一時は前日比変わらずに近いところまで引き戻し。終値は59ドル安−という推移でした。

 「断念」が伝わった後の株価切り返しは単なる売り方の買い戻しとも考えられますが、「これで、トランプ政権が現在など税制改革に集中できるようになる」との期待が市場に広がったことによる買い、との解説もあります。実際、トランプ大統領は記者会見で「オバマケア代替案が成立しなければ、今度は税制改革に力を入れる」と語っているようですし、ライアン議長も「それは不可能ではない」と気弱な言い回しながら、軸足を経済政策に移すことを示唆しています。

 減税など経済政策こそ市場が期待するもの。そもそも今回の撤回は「共和党の敗北」を強く印象づけるもので、トランプ大統領の実行力は僅かしか損なわれていない。今後、速やかな税制改革の実現につながるようなら、今回の「断念」は朗報かも知れない−という声さえあります。

 そこまでアッサリと気持ちを切り替えることができるものか、と思いますが、どうやらトランプ政策への期待、今回の出来事で霧消してしまうようなことはなさそう。そういえば、ダウの7日続落は16年10月27日〜11月4日以来のこと。つまり、トランプラリーが始まる直前以来、ということです。何となく因縁めいています。

 今週は年度末の週。一番高いのは28日の権利付き最終日。権利落ち後にはやや軟調な市況になりやすく。強さを取り戻すのは4月から…という展開が恒例です。

 さて、稀勢の奇跡。大感動でした。「自分の力以上のものが出ました。本当にあきらめないで、最後まで力を出して良かった」。
 ほんとうに、よかった。(イワモト)

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動あれば反動あり・・

r.matsushita |2017/03/24 8:06 am

 今週も言うなればイベント通過待ち、という感じだったと思いますが、金融政策とか、大統領の新政策といったこととは違って、わが国では学校の理事長の国会証人喚問というイベントに注目ということで、懸念と言いますか、何とも白けた話でした。

 首相及び首相夫人が関連する事案にはおそらく重大な事件性はないでしょうから、普通であれば株式市場はほぼ無視、のはずなのですが、そうならないところが困ったものです。

 アメリカでは、トランプラリーが一頓挫、という様相になっています。「驚くべき税制」が出て来るはずが、オバマケアーの修正にすら手こずりそうだ、ということでは楽観ムードにブレーキが掛かるのは致し方ないところでしょう。とはいえ、少し長い目で見たトランプ相場は終わっているわけではないでしょうから、今は「動あれば反動あり」ということで短期的な押し目形成の局面なのかもしれません。

 日本株相場は、アメリカ相場のミラー・イメージで下げた、という面もありそうです。現に、一時は為替離れか?と思わせたのに、株安+円高、というアベ・トレードが蘇ったかのような動きを見せています。アベ・トレード復活の要因が森友学園問題だったかもしれない、ということになりますと、話が最初に戻って何とも白けた気分になってしまいます。

 日本株相場は年度末から新年度に強調となって日経平均2万円超え、そこまで上がれば今年は「5月に売れ(セル・イン・メイ)」となるか、といった感じで作業仮説としての相場想定をしているのですが、このまま下落が続いて、実は「セル・イン・マーチ」だった、などということにならなければいいがと思っているところです。

 世界的に景気回復局面入りしており、日本企業の業績も来期は増収増益傾向、しかも、全体として(投資尺度を)見ればさほど高いわけではない、となれば、日本株相場(全体)の先行きを悲観することはないと思っています。(ただ、地政学的リスクには注意が必要でしょうが。)

個人パワー
 日経平均、トピックスで見ますと、日本株は市場全体では今年初来ほとんど横ばいで上がっていない、となるのですが、ジャスダック平均やマザーズ指数で見ますと、まったく様相が異なります。

 今年ここまでの株式相場は個人パワーで上昇したが、海外勢の売りもあって日経平均、トピックスはあまり上がっていませんね、というのがざっくりと言えるところかと思います。

 個人パワーと言えば、実は昨年初から春にかけてバイオ株相場といった感じの個人主導の相場があったことを覚えていると思います。

 今年は、昨年春の主役であったバイオ株は大きく値を下げる銘柄が多いのですが、代わりにAI関連とか、フィンテック関連とか、Iot関連、さらにはIPO銘柄、などが上がる、という展開を見せています。

 個人がいくら元気でも、海外勢が大量に売る、となれば相場はひとたまりもなく下落する、というのが(非常に残念なことに)現今の日本株相場です。(外国人が日本株の最大の保有者でその保有割合が3割規模で、売買に占めるシェアでは過半というのですから仕方がありません。)そうではあるのですが、海外勢の売りが大規模でなければ、例えば新興市場株、あるいはIPO銘柄、といった形で言わば局地戦(ゲリラ戦?)は成立する、ということなのでしょう。

 個人はゲリラ戦しかできないのか、と思ってしまいますと忸怩たるものがありますが、グローバルとローカルの混在が現在の世界の実相であり、わが国の株式市場もそうしたグローバルとローカルの要素を持っている、と考えるのが現実的なのでしょう。 

平成29年3月24日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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動かないマネー

k.nakajima |2017/03/23 8:28 am

2016年12月末の個人金融資産残高は、前年比17兆円増の1800兆円と過去最高を更新し1800兆円の大台に乗せています。 現金預金は937兆円と全体の52%を占め、9月末の現金預金の916兆円から21兆円の増加になっています。 その内9月末に個人が『現金』、所謂タンス預金として保有していたのが78兆円になります。 12月末の現金流通高は約97兆円と過去最高を更新していることからタンス預金は更に拡大しています。

日銀のマイナス金利の影響で、無視できるほどの低金利で資金を長期に渡り固定されることを嫌い、主に法人中心に定期預金から普通預金に資金が流れているようです。 事実12月末の定期預金残高は約245兆円と前年末比▼3.9%減、一方普通預金は∇11%増の380兆円と明暗を分けています。 個人も普通預金に一部資金を向けていますが、日本は治安も良く盗難のリスクも小さいため、ATMを使って手数料を取られるならタンス預金で構わないと考える個人が増えているのです。

2015年末の統計数字をもとに日銀が分析したところ、日本で流通する現金残高の名目国内総生産比は19.4%と、2位香港の15.5%を大きく引き離しています。 現金払いが主流のインドですら12%弱の3位に止まっています。 ちなみにキャッシュレス化の進んだスエーデンでは1.7%ですので、日本はその11倍以上になります。

日本人はもともと現金へのこだわりが強いと言われています。 しかしそれ以上にデフレ心理が払しょくされていない事が現金志向に走らせているようです。 今年より来年には更に物価が下がると見るデフレ心理がある限り、財布の紐はどうしても固くなります。 年金や社会保障に対する漠とした不安も支出を抑えています。 しかし手元に現金を置いておくだけでは何も生まれません。むしろ家計の身の丈に合った投資行動は長い目で見て将来の備えにもなる筈です。

その点で公務員や主婦など2700万人を新たに対象とした個人型確定拠出年金(イデコ)の導入には期待するところ大です。 これで従来の4000万人に加え全ての年金受給資格者6700万に資産形成のツールが与えられたことになります。 残るは投資家育成の教育になりますが、当番組の重要性を感じる昨今です。
(中嶋)

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「2位ではだめなのですか?」

k.suzuki |2017/03/22 7:51 am

「IoT」=アイ・オー・ティー、“Internet Of Things”。

何とも書きにくいし発音しにくい言葉ですね。今の世の中は「IoT」を抜きにしては少しも前に進みません。あらゆるモノとモノとがインターネットでお互いにつながるという構想が現実にスタートしています。

日常生活の中でも「IoT」なる言葉に触れない日はなくなりました。雰囲気としては、インターネットが世の中に急速に普及していった90年代末の状況とよく似ています。

日本が3連休だった今週初め、ドイツのハノーバーで世界最大規模のIT見本市「CeBIT(セビット)」が開かれました。欧州4カ国を歴訪中の安倍首相も会場を訪れ、メルケル首相とともに視察しました。

それに合わせて日独両政府は、「IoT」や次世代自動車の規格に関する「第4次産業革命に関する日独共同声明」、いわゆる「ハノーバー宣言」を採択しました。あまり目立たないニュースですが、日本とドイツが歩調を合わせて「IoT」の規格統一に向けて動き出したのです。

ソフトバンクは英国の半導体メーカー、アーム社を3兆円で買収しました。三菱自動車の会長に就任したカルロス・ゴーン日産社長は、「IoT」を使って三菱自動車の生産ラインの改善を進め生産性を一気に高めようと計画しています。

風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーは、環境負荷の面では他のエネルギー源を圧倒していますが、普及に向けた唯一のネックが発電コストの高さです。普及に向けた解決策のひとつとして、ここでも「IoT」を活用して効率的な供給体制が模索されています。

春は人事異動の季節です。上場企業もメーカーのみならず、サービス業・金融業を問わず「IoT推進室」や「IoTソリューション」などの新しい部署を設立して人材を配置し直している様子がうかがえます。佳境を迎えている来春の就職活動でも、理工系学生の採用に特に力を入れている傾向がはっきりと浮かび上がります。

「インターネット革命」が本格普及した2000年代初頭の日本は、不幸にも官民あげて不良債権処理に忙殺され、貸し渋りの憂き目にあった企業は資金繰りに汲々としていました。そのためにろくな採用活動も設備投資も行えず、ネット革命では諸外国と比べて「周回遅れ」となって大きく水を開けられました。

それが結局は、2000年代以降の日本の産業界の競争力低下に直結していった一因でもあります。

同じ轍を踏まないためにも、ここで「IoT」の波に遅れを取るわけにはいきません。幸いにも「IoT競争力」に関しては、今のところ日本は主要10カ国の中で米国、中国に続く第3位の位置をキープしているそうです。ただしこれも、ロボットや自動車産業の伝統的な強さに支えられている部分が大きいと見られます。

デフレ脱却、財政立て直しのためにも、ここで負けるわけにはいきません。先端分野における人材獲得の点においても、やはり第2位以下ではだめなのです。この分野にはどんどん官民の支出を増やしていってほしいものです。
(スズカズ)

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「韓非子」

e.sakurai |2017/03/21 8:20 am

米3月FOMCは想定通りの利上げで通過。
しかし今年の利上げの可能性があと2回となったことからの円高トレンド。
「勝手に想像して勝手に警戒して勝手に着地」みたいな格好でした。
フツーに考えれば、利上げ=米景気好調。
あと2回の利上げ=2回だろうと3回だろうと基本スタンスは不変。
にもかかわらず局所を捉えてドル売りに走る短期筋の思考法が優先されたという印象。
いずれどこかで是正はされるのでしょう。
「QE3を止めたら株が下がる、アメリカが利上げをしたら株は下がる」と言っていた市場筋の声。
それに反して株は上昇したのがここ数年の現実。
小手先の解釈は間違うことが多いものです。
「年4回でないからドル安円高」というような為替かぶれチックな表面的発想には縛られない方が良いのでしょう。

中国の古典に「韓非子」というのがあります。
根底にあるのは「人間は欲望と利益の二つで動くもの」という思考法。
もともとは国家統治とか転じて経営学などで用いられるものでした。
でも株式市場で渦巻いているのも「欲望と利益」でしょう。
市場参加者の欲望と利益を忖度しないで相場観はなかなか成立しないもの。
でも、市場関係者はこういう低レベルなことは忖度することは滅多にありません。
学問チックにROEだ、ESGだ、あるいはEBITDAだ。
アルファベットを並べれば相場が事足りる訳ではないのでしょうが、どうもそっちに流れる傾向です。
売る人が多いから株価は下落、買う人が多いから株価上昇。
不滅の定理の筈なのに、この解釈では失笑されるばかり。
株式市場はもともとそんなに高級な場所ではない筈。
欲と利益への願望が渦巻いて株価は形成されるもの。
何か不都合がある訳でもないのでしょうがまぜか最近はこの部分をあまり語ろうとはされません。
やはり事の本質を見ることは必要でしょう。
「虎の能く狗を服する所以は、爪牙なり」。
「巧詐は拙誠に如かず」。
「人を恃むは自ら恃むに如かず」。
「事の理によるときは、労せずして成る」。
古い言葉でも案外と参考になるような気がします。

以下は今朝の場況。

「ダウは3日続落、NASDAQは4日続伸」

週末のNYダウは19ドル安、週明けのNYダウは8ドル安と3日続落。
一方アップルが史上最高値を更新し検診しているNASDAQ総合株価指数は小幅に4日続伸。
FOMCを通過しG20も通過し結局は方向感のない展開。
主な経済指標や目立った大型N&Aの発表などの物色材料が乏しいことも影響した格好。
「重要イベントを波乱なく終えた安心感が漂う」という声も聞こえる。
緩やかな金利上昇の方向性を受けて10年債利回りは2.464%まで低下。
連動して金融セクターが軟調展開。
2月の米鉱工業生産指数は横ばいで着地。
3月のミシガン大学消費者態度指数速報値は97.6と前月から改善した。
キャタピラーは減収幅が縮小し上昇。
ウォルト・ディズニーは前週に公開された映画「美女と野獣」の北米の興行収入が市場予想を大きく上回ったことから上昇。
画像処理半導体大手のエヌビディアやAMDなど半導体関連も上昇した。
セキュリティソフトのFEYEが証券会社の投資判断引き上げを受けて急伸。
先週のNYダウは0.1%高。
NASDAQ総合指数は0.7%高。
S&P500指数は0,2%高。
ともに2週ぶりの反発となった。


「225採用銘柄のEPSは1210円まで増加」

週末の日経平均は三連休を前に見送り姿勢。
日中値幅は60円程度のこう着状態だった。
国会の証人喚問を除けば大きなイベントも少なく動きづらい展開と見る向きも多い。
一方で総額12兆円に及ぶという配当取りの動きもみられる可能性も大きい。
いずれにしても自ら動く努力の少ない東京市場は欧米株式市場の動向如何の展開。
シカゴ225先物終値は大証日中比80円安の19270円。
ドル円の112円台を嫌気した格好での下落となった。
メジャーSQ値決定以来6日連続で上回って来た記録が途絶えそうな気配。
25日線19394円が微妙にサポートしてくれれば明日につながる動きに期待できようか。
空売り比率は34.5%と意外と上昇していないことは安心感になる。
日経平均採用銘柄のPERは16.13倍。
EPSは1210.27円まで増加してきている。
素直に考えればこれは救いになろうか。
週間ベースでは、日経平均株価は0.4%。
TOPISは0.5%安でともに4週ぶり反落。
東証マザーズ指数は4.8%安で6週ぶり反落。
日経ジャスダック平均は1.2%安で8週ぶりの反落。
東証2部指数は2.0%高で8週続伸(累計11.0%上昇)。
(櫻井)。

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イベントは通過したのですが・・

r.matsushita |2017/03/17 8:01 am

 米金利引き上げ(FOMCは理事10人中9人の賛成で利上げ)、日銀金融政策決定会合(政策変更なし)、オランダ選挙(極右勢力伸びず)などの重要イベントを通過しても、米国・日本ともに株式相場は気迷いを脱出とならないところが、いかにも相場らしいところです。(米予算教書提出というイベントも昨夜あったのですが、相場への影響は限定的だったようです。)

国内的には、安倍首相による学校法人への寄付などというものが出て来たりしていますから、市場参加者の不安と躊躇のレベルが上がってしまっているようです。

 日本の株式相場は円ドル相場離れ、となるのであればいいのですが、イエレン議長の立場をややハト派と見れば、日米の実質金利差拡大ということにならないかもしれないということで、円ドル相場は何となく円高に賭ける向きも多いかもしれない、といった感じがありますので何とも気持ち悪いところです。

 日本の企業業績はしっかりの推移でしょうし、株価はどちらかと言えば割高でない、需給面も個人の積極的な参加が出始めている、ということで、新年度に向けて株式相場は強調を期待したい、と言えるのでしょうが、ここは「5月に売れ」という標語を頭の片隅に置きつつ進むところなのかもしれません。

東芝株の投資価値
 東芝という会社が厳しい状況にあることは確かでしょうが、上場廃止にならないことを期待したいと思っています。日証協の会長も上場廃止回避を目指して東芝の経営陣に取組み強化をと発言、という新聞記事もありました。
 
 しかし、上場維持・廃止を決めるのは取引所(の傘下の自主規制団体)ですから、東芝の経営陣が直接どうこうできるわけでもなく、どうなるかなかなか見通しの難しいところです。

 東芝にはすでに投資価値がない、といった意見もあって、しごくもっともな話です。おそらく多くの機関投資家のファンドマネジャーはすでに東芝株を投資対象ユニバースから外しているでしょう。(いわゆるハゲタカ・ファンドは魅力ある獲物の候補として注目しているでしょうが。)東芝株に投資した場合、今後どんな投資成果になりそうか?想定するのがあまりにも難しいのですから当然のことです。

 しかし一方で、今の東芝株には非常に大きな投機妙味があります。日日の変動率が大きく、出来高も大きいのでそのように妙味あるトレーディング対象になっている、というわけです。将来像に大きな幅があるので、それに対する思わくが働いて売り・買いが活発化しやすいということでしょう。

 それから、急速に縮んだとは言え、東芝株には今でも7000億円からの時価総額があります。時価総額は倒産すれば消えてなくなりますし、上場廃止になれば事実上ないのと同じとなってしまいますが、東芝が倒産せずに上場を維持できれば、かなりの額の時価総額は残ります。つまり、好んでかどうかは別にして現に保有している株主から見れば、それなりの流動性ある資産として機能してくれるわけですし、マクロで見れば日本経済の中の財産の一部である、ということです。

 事業から見れば、生き残るために事業の切り売りをしても、4兆円かそこらの事業は残る、と経営陣は表明しています。これは小さな事業規模ではありません。

 さらには、シャープの例もあります。あれだけ苦境に陥っても、経営次第で立ち直ることができる、というのが実際に起きていることなのです。

 東芝という会社の経営に大きな問題があったことは確かだろうと思います。しかし、経営に問題があったのなら、それを改善すればいいだけのこと、とも言えるでしょう。ガバナンスの不備を重視して上場廃止というのは何とも勿体ない話です。

 東芝株を売買する個人の市場参加者、という立場からすれば、突然上場廃止にならない限り、現時点で投資価値は計れないとしても投機妙味はあるし、どこかで何とかなるかもしれない、ということであれば上場が維持されていても別に困らない、ということになると思います。

日本のデフレ体質
 一時のようにデフレがますます深刻化するという状態ではないものの、わが国はデフレ体質からなかなか脱出できないでいるようです。

 安倍首相は、繁忙時の残業時間規制で100時間未満を要請したり、今春闘で、欲を言えばもう少し力強く、と陳べたり、と、まるで社会主義体制下のような感じですが、それだけデフレからの脱出に向けて努力しているということなのだろうと思いますね。(プレミアム・フライデーもその線上の話ですよね。)

 いろいろ原因は考えられるのですが、私はわが国のデフレの真犯人は「働く人の値段が安すぎる」ことだと思っています。逆から見れば、働く人にもっと多くの給料を出せるだけ自分の会社の製商品やサービスを高く売る力がない、ということだと思いますね。

 このことはすでに多くの人たちによって散々論じられて来ていることです。番組の中でよく取り上げる伊藤レポートでも、日本の企業のROEが低いのは、売上高利益率が低いこと、つまり日本企業が安売り体質だから、という趣旨のことを強調しています。

 市場において競争をしているわけですから、思うように自社の製商品やサービスを高くする(つまり値上げ)などできるはずがない、と言うかもしれませんが、努力して努力して自社の製商品・サービスをより高く買ってもらえるようにすることが企業努力というものだ、と思いますね。(結果としてROEが上がりますし、デフレからの脱却もできるでしょう。)

 よく、日本は労働生産性が低い、と言われます。何だか日本人の働きっぷりが非効率で悪い(一人でできることを二人でやっている、というようなところはあるのかもしれませんが)、と言われているような気になりますが、ごく素直に見れば、労働生産性は付加価値額(簡単に計算するとすれば、=人件費+減価償却費+営業利益)を働く人数で割って計算する数字で、付加価値額の大きな部分を占めるのは人件費(給料)ですから、日本の労働生産性が低い(付加価値額が小さい)のは、給料が安いせいだ、ということになるような気がします。

 宅配便の料金ではありませんが、どこかで労働に見合う給料を払える程度に値上げをしないと、日本の労働生産性は低いままで一向に改善せず、デフレも解消しない、となりかねませんよね。

平成29年3月17日 金曜日
証券アナリスト
松下律

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膠着相場の背景

k.nakajima |2017/03/16 8:16 am

株式相場の膠着感が強まっています。  3月14日の日経平均の値幅は37円93銭と2014年9月1日以来の小幅に留まっています。 年初からの日経平均の値幅もザックリと19000円―19500円のレンジを往復している限定的なものです。  TOPIXも同様に年初からの値幅は1500−1550㌽にほぼ収斂していますが、ここではTOPIXを中心にその膠着の背景を需給面から探ってみたいと思います。 TOPIXの上期の終値は1322㌽(9月30日)です。 そこを起点に年末の12月21日には1558㌽まで急伸します。 しかしその後年初から直近まで1500−1550のレンジ内の動きに留まります。 下期は10月初めからデーターの取れる今年3月3日まで22週経過していますが、週単位の買い越し(勝)売り越し(敗)は以下の様になります。

外国人    14勝 8敗
信託銀行   4勝 18敗
投信     2勝 20敗
事業法人   19勝 3敗
生損保    4勝 18敗
銀行     2勝 20敗
個人     2勝 20敗

大幅に買い越しを演じたのは外国人と、自社株買いと従業員持ち株会の買いが続く事業法人のみです。 国内勢は法人、個人とも大幅な売り越しになっています。 さて大幅買い越しの外国人、事業法人の動向を指数が急伸した10月−12月と、膠着相場に入った1月−3月3日に分けて見たのが次の数字です。

       10−12月(TPX1322−1558) 1月−3月(1500−1550)
外国人    11勝2敗(+2兆5000億円)  3勝6敗(▼3000億円)
       合計14勝8敗 +2兆2000億円の買い越し

事業法人   12勝1敗 (+7820億円)   7勝2敗(+1200億円)
       合計19勝3敗 +9020億円の買い越し

大幅買い越しの両者とも昨年12月までは買い越しを続け、相場を押し上げていましたが、年初からはその勢いが鈍っているのが見て取れます。 買いの主体が見当たらなくなったのです。 今年に入ってからの膠着相場の背景が見えてきたようです。 一方国内勢は揃って大幅な売り越しですが、金額的には特に個人の▼4兆4000億円の売り越しがが目立っています。 しかし個人も信用取引では、直近8週連続で買い越し、且つ通算でも15勝7敗(金額で+5400億円)の買い越しです。 合算すれば 通算では▼3兆8600億円の売り越しに縮小します。 その他の国内勢の売り越しは金額的にも極めて限定的ですのでザックリと言えば個人の売りを外国人、事業法人の買いが相殺したのが下期の形になります。

新年度入りの4月には外国人が買いから入る事が知られています。 結局市場動向をきめるのは新年度入りからの個人、信託の動向が鍵になりそうです。
(中嶋)

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